研究課題/領域番号 |
04557022
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
松本 芳嗣 東京大学, 農学部, 助教授 (00173922)
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研究分担者 |
横井山 繁行 旭化成工業株式会社, ライフサイエンス総合研究所, 研究員
倉持 隆司 実験動物中央研究所, 研究員 (10225253)
伊藤 守 実験動物中央研究所, 研究員 (00176364)
山田 稔 京都府立医科大学, 医学部, 講師 (70106392)
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キーワード | ニューモシスチス・カリニ / ニューモシスチス・カリニ肺炎 / 日和見感染症 / グルカン / アクレアシン / スキッド・マウス / AIDS |
研究概要 |
プレドニン(20mg/kg)を週2回の割合で、5週間以上皮下注射することによりラットにニューモシスチス・カリニ(Pc)肺炎を発症させることができる。プレドニン投与開始と同時に、或は5週間以上経過し軽度の肺炎を発症した時期から、様々な用量のアクレアシンAを連日腹腔内投与し、その予防或は治療効果を検討した。結果の判定は我々が開発した嚢子定量法、免疫学的検査及び病理組織学検査により行った。また併せて薬剤投与による副作用を病理組織学に検索した。その結果,アクレアシンA(2mg/kg)連日投与による著明な治療および発症予防効果が明らかとなり、副作用も極めて軽微であることが示された。次にPc肺炎治療薬としてすでにその効果が知られているST(サルファメトキサゾール・トリメトプリム)合剤との併用効果を検索したが、明らかな相乗効果は認められないものの、併用により各々の投薬量を減ずることは可能であると考えられた。 一方、先天的免疫不全動物であるスキッド(SCID)マウスにPcを経鼻接種し、接種と同時にアクレアシンAの投与を開始することによりPc肺炎発症予防効果を検討した。SCIDマウス・モデルにおいてもアクレアシンA(2mg/kg)連日腹腔内投与により、顕著な発症予防効果が得られた。本実験ではまたPc遺伝子特異的プライマーを用いたPCR法を応用することにより、薬剤効果の判定が簡便に行えることを示すことができた。 アクレアシンにはその側鎖の違いにより、様々な誘導体が知られている。これらの誘導体のうち、真菌に対するin vitro増殖抑制効果がアクレアシンAより勝るアクレアシンDにつき、Pc肺炎に対する薬効をSCIDマウスモデルを用いて検討した。結果は、真菌に対する効果の強さとは逆に、アクレアシンAの方がDよりも強いPc肺炎発症予防効果を示した。
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