研究課題/領域番号 |
04557025
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研究機関 | 札幌医科大学 |
研究代表者 |
谷口 孝喜 札幌医科大学, 医学部, 助教授 (40094213)
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研究分担者 |
相沢 主税 (社)北里研究所, 生物製剤研究所, 所長 (80072362)
久下 周佐 東京大学, 医科学研究所, 教務職員 (50186376)
小林 宣道 札幌医科大学, 医学部, 講師 (80186759)
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キーワード | ポリオウイルス / ロタウイルス / ワクチン / VP4遺伝子 / DI粒子 / キメラウイルス / 効反応性中和領域 |
研究概要 |
ヒトロタウイルスのVP8′およびVP5′コード領域をカバーする1,214塩基をPCRで増幅し、その産物を1,800塩基欠失したポリオ人工DI粒子ベクターに挿入した、pSM1(T7)2-VP8′+VP5′からRNAを合成した。このRNAをHeLa細胞にトランスフェクト後、抗VP4抗体を用いた蛍光抗体法でVP4蛋白の発現を確認した。免疫沈降法でこの発現蛋白の性状をさらに検討した。抗体としては、モルモット免疫バキュロウイルス発現抗ヒトVP4抗体、ウサギ免疫抗ロタウイルスビリオン抗体、およびマウス抗VP4モノクローナル抗体、およびウサギ免疫ポリオ抗3C抗体(コントロール)を用いて、トランスフェクト後8時間あるいは16時間で、また抗抗体の添加で検討したが特異的な沈降物を確定するには到らなかった。抗VP4抗体の新たな調製を含めた、免疫沈降反応系の検討、動物を用いた免疫原性の検討を行いたい。しかし、蛍光抗体法では、VP4蛋白の発現を確認しているので、今後さらに継代を重ね、キメラウイルス粒子を回収し、ポリオウイルスレセプターを有するトランスジエニックマウスを用いた動物実験を行いたい。 上述ヒトVP4発現ワクチンの効果を判定する基盤として、ヒトロタクイルスVP4タイプの分布をPCR-VP4タイピングで調査した。その結果、PIAタイプが圧倒的に多く(85.1%)次いでP1B(12.4%)であったが、P2、P3も少数ながら検出した。また、最近ヒトで分離されたロタウイルスにおいて、そのVP4がウシロタウイルスVP4由来と思われる株の分離が相次いで報告されている。そこで各種の動物ロタウイルスVP4遺伝子の塩基配列を決定し、系統関係を調査した。自然界において、ヒトを含めた異種動物間でVP4遺伝子を含めたリアソートメントがこれまでの推測以上に高いことが判明した。こうした結果も、今後のキメラワクチン開発の際に考慮しなければならないであろう。
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