研究課題/領域番号 |
04557025
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研究種目 |
試験研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
ウイルス学
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研究機関 | 札幌医科大学 |
研究代表者 |
谷口 孝喜 札幌医科大学, 医学部, 助教授 (40094213)
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研究分担者 |
相沢 主税 北里研究所, 生物製剤研究所, 所長 (80072362)
久下 周佐 東京大学, 医科学研究所, 教務職員 (50186376)
山岸 公子 東京都臨床医学総合研, 微生物部, 研究員 (20200602)
小林 宣道 札幌医科大学, 医学部, 講師 (80186759)
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研究期間 (年度) |
1992 – 1994
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キーワード | ロタウイルス / ポリオウイルス / ワクチン / VP4遺伝子 / DI粒子 / 交叉反応性中和エピトープ |
研究概要 |
ロタウイルスワクチン開発上 1)複数の血清型に対し防御能を有し、2)腸管免疫を効果的に賦与し、3)副作用が少なく、4)経済性に優れているなどの点が考慮されねばならない。こうした諸条件を満たすロタウイルスワクチン開発の可能性を探った。ヒトロタウイルスKU株のVP8'コード断片、VP5'コード断片、およびVP8'+VP5'コード断片を、ポリオウイルス人工DIゲノムを含むpSM1(T7)3およびpSM1(T7)2ベクターに挿入し、ポリオーロタキメラゲノムを有するプラスミドを作成した。作成したpSM1(T7)3-VP8'、pSM1(T7)3-VP5'およびpSM1(T7)2-VP8'+VP5'由来RNAのトランスフェクトの結果、ロタウイルスVP4特異的RNAの細胞内複製を認め、pSM1(T7)3-VP8'およびpSM1(T7)2-VP8'+VP5'についてはロタウイルスVP4に対する抗血清に反応する蛋白の発現を検出した。この系を用いて発現した交叉反応性中和領域を含むVP5'の抗原性は予想したより低いのかも知れない。ポリオウイルス蛋白との融合蛋白として発現されるVP5'のコンフォメーションが本来の構造とかなり異なっている可能性もある。pSM1(T7)3-VP8'由来RNAをトランスフェクト後、ポリオウイルス完全粒子を重感染し4代継代後の細胞抽出液を感染したHeLa細胞中に、抗VP4抗体に反応する蛋白の発現を検出した。免疫原性の検討は、高力価のキメラウイルスの調製、経口感染に好都合なポリオウイルスレセプター導入トランスジェニックマウスの入手の点などから、今後の課題として残った。 ヒトを含めた各種動物種由来ロタウイルスのVP4遺伝子の塩基配列を決定し、少なくとも17種のVP4 genotypeが存在すること、一般的には、種特異性が存在するものの、異なる種間で関連が見られることを示した。特に、サル、イヌ、ネコとヒト間、ブタとウマ間、ネコとヒト間でのVP4の関連は、ロタウイルスの生態を考える上で重要である。さらに、稀ではあるが、P1A,P1B,P2以外に、P3やP5血清型を有するヒトロタウイルスが存在することから、こうしたP血清型をもつヒトロタウイルスに対する感染防御の方策も考慮しなければならないことも判明した。
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