研究課題/領域番号 |
04557027
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
笹月 健彦 九州大学, 生体防御医学研究所, 教授 (50014121)
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研究分担者 |
上川路 信博 九州大学, 生体防御医学研究所, 助手 (90224659)
木村 彰方 九州大学, 生体防御医学研究所, 助教授 (60161551)
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キーワード | HLA / 抗原ペプチド / 免疫応答 / トランスジェニックマウス / 遺伝的多型性 |
研究概要 |
HLA分子の遺伝的多型性による自己・非自己ペプチドとの結合親和性の相違を明らかにし、これを用いた免疫制御システムの開発を目的とした研究を行った。四重電極質量分析装置を用いてHLA分子に結合した自己ペプチドのアミノ酸配列を決定するシステムを確立し、Bリンパ芽球表面に発現したHLA-B52分子に結合した自己ペプチドを解析した。その結果、B52分子への結合モチーフは9〜10アミノ酸より成り、第2番目にグルタミンまた第9番目にイソロイシンあるいはロイシンなどの疎水性アミノ酸を有することを明らかにした。またB51分子に結合した自己ペプチドの溶出パターンはB52分子とはかなり異なること、すなわちHLAの遺伝的多型性に依存した特異的結合モチーフの存在を明らかにした。一方、溶連菌M蛋白の遺伝子塩基配列より推定されるアミノ酸配列に基き32種のオーバーラップペプチドを作製した。これを用いてDP9分子との結合親和性の解析とM蛋白特異的T細胞株の樹立ならびにそのペプチド抗原反応性を解析したところ、DP9分子に結合する外来抗原ペプチドは11アミノ酸より長いこと、またN末から第2あるいは第3番目に塩基性アミノ酸を有することを明らかにした。さらに置換ペプチドの作製により、この塩基性アミノ酸がDP9分子への結合アンカーであることを証明した。またDP9分子に結合するペプチドはDP4あるいはDP5分子には結合しないことから、DP分子についても遺伝的多型性に基く非自己ペプチドへの結合親和性の相違が明かとなった。一方、HLA-DR51あるいはDQ6分子を発現するトランスジェニックマウスを用いて、それぞれ特定のペプチド抗原(HAペプチドあるいはMペプチド)への免疫応答性を回復することを証明し、HLAによる免疫応答の制御を個体レベルで解析するマウスの実験系を確立した。
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