研究課題/領域番号 |
04557029
|
研究種目 |
試験研究(B)
|
配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
衛生学
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
森本 兼曩 大阪大学, 医学部, 教授 (20143414)
|
研究分担者 |
古山 順一 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (30068431)
江副 智子 大阪大学, 医学部, 助手 (40232954)
丸山 総一郎 大阪大学, 医学部, 助手 (70219567)
竹内 亨 大阪大学, 医学部, 講師 (00188161)
竹下 達也 大阪大学, 医学部, 助教授 (20150310)
|
研究期間 (年度) |
1992 – 1994
|
キーワード | アトピー / IgE / IgE受容体 / 分子遺伝学 / 遺伝疫学 / ライフスタイル / 社会医学的スクリーニング / 多型 |
研究概要 |
英国オックスフォード大学との共同研究により、第11染色体とアトピーの関連が示された。そこで、日本人集団においてもこの関連を検討するため、健常対照群100名とアレルギー疾患群(喘息、鼻炎、皮膚炎)400名のDNAサンプルを抽出し、IgE受容体β鎖遺伝子内に発見されたRFLP(Restriction Flegment Iength Polymorphysm)多型について検討を行った。その結果、アトピー群には非アトピー群に対して有意の多型分布の変化が認められ、第11染色体11q近傍にアトピーを制御する遺伝子の存在が示唆された。このβ鎖遺伝子の両則に位置するCD2OとTCNI(Transcyanocobalamine 1)遺伝子のRFLPには有意の分布変化がなく、β鎖近傍に候補遺伝子が存在することが、日本人集団でも確認された。 英国人集団においては、高親和性IgE受容体β鎖におけるいくつかの変異とアトピーとの関連が示された。そこでこれらの変異を簡便に判定する方法としてPCR法を用いたARMSテスト(Alleli Specific Amplification)が開発された。また微量サンプルや尿中からのDNA抽出法についても検討を行った。その結果、血液約100μLからPCRに十分なサンプルが得られることが判明した。また尿に尿素系の化合物を加えると保存が可能で、輸送に時間のかかるアフリカやアジヤのサンプルも分析可能であることが確認された。これらの方法によって大量の少量サンプルが短時間によって判定が可能となった。その結果約1000名のオーストラリア人やアフリカ人についてこれらの変異の有無を検討したところ、アトピーとの関連が示された。また、順天堂大学医学部免疫学グループはこれとは異なる変異とアレルギー性鼻炎の関連を報告している。現在日本人集団内におけるこれらの変異との関連についてARMSテストを用いて検討中である。 現在いくつかのグループがアトピーの候補遺伝子を発表しているが、これらについてもARMS法やRFLP法により簡便に判定が可能である。これらのテストによって各個人の遺伝的リスクが決定され、我々の開発したライフスタイル要因や環境要因の定量化法によってこれらの要因のアトピー遺伝要因との交路が判明し予防戦略の構築が開始されると期待される。
|