研究概要 |
本研究は喫飲食物と糞便中の栄養素(糖質,脂質,タンパク質)を元素分析装置CHNコーダーで測定(推定)することを目的としている。 平成4年度は,実際の食事及び糞便で標準的試料を作成し,採取と分析のための前処理及び試料の保存に関する検討を行った。 その結果,喫飲食物は適当量の蒸留水を加え,ミキサーで十分にホモジナイズしたのち凍結乾燥させて微細粉末に粉砕し4℃で保存することで測定に耐え得る試料が得られた。一方,糞便も十分にホモジナイズしたのち凍結乾燥させて微細粉末に粉砕し4℃で保存することで測定に耐え得る条件の試料となった。試料作成過程におけるホモジナイズを十分に行うことが元素分析装置CHNコーダーの測定値の再現性を保つ上で最も重要であることが明かとなった。 また元素分析装置CHNコーダーによる標準的試料中の炭素,水素,窒素の測定値と他施設(九州大学中央元素分析センター)との比較を行った。その結果いずれの元素も両施設間の値にきわめて高い正の相関関係(相関係数0.99,傾き1.0)がみられた。 また標集的試料中(食事)の栄養素量の公定法による測定を行い,この値と元素分析装置CHNコーダーの測定値を比較することでCHNコーダーからの栄養素量推定法を検討し,良好な推定式を完成させた。一方糞便に関しては,満足のいく推定式はまだ完成していない。これは糞便中に腸内細菌由来の窒素が多く存在するためであり,これがタンパク質の推定の障害となっている。 以上より,研究はおおむね当初の計画通りに進行中である。
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