研究概要 |
栄養摂取量と成人病特に大腸癌の発生との間には関連性があるといわれている。しかし,従来の栄養素摂取量測定法では時間と費用がかかり,対象者の多い公衆衛生の場で実際に実施することは困難であった。本研究では、1検体あたり10分位で測定できる元素分析装置CHNコーダーを用いて喫食物,大便を試料とし,試料中の炭素,水素,及び窒素量を測定し,公定法で測定した栄養素量とよく相関する推定式を確立することを目的とする。この推定式が実用化すれば,従来困難であった個人レベルの栄養素摂取量の把握が公衆衛生の場でも可能となる。 これまでの研究経過としては,平成4年度は,喫食物及び大便の標準的試料を作成し,採取と分析のための前処理及び試料の保存に関する検討を行った。また,元素分析装置CHNコーダーによる標準的試料中の炭素,水素,窒素の測定値と他施設(九州大学中央元素分析センター)との比較を行い,良好な相関が得られた。 そこで,平成5年度は,当初の計画通り,標準的試料中の栄養素量の公定法による測定を行い,これと元素分析装置CHNコーダーの測定値から栄養素量推定式の作成を試みた。このために使用した標準的試料中の数は約50であった。推定式はほぼ完成されたが,現在最終段階の調整中である。また,実際に住民より喫食物及び大便を買上げて収集し,分析のための前処理を行った。現在あわせて約150サンプルを凍結保存中である。 以上のように,研究は現在のところ順調に計画通りに進行中である。
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