研究課題/領域番号 |
04557043
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研究種目 |
試験研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
循環器内科学
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研究機関 | 川崎医療短期大学 |
研究代表者 |
後藤 真己 川崎医療短期大学, 医用電子技術科, 助教授 (50148699)
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研究分担者 |
辻岡 克彦 川崎医科大学, 医用工学, 助教授 (30163801)
梶谷 文彦 川崎医科大学, 医用工学, 教授 (70029114)
立花 博之 川崎医療短期大学, 医用電子技術科, 助手 (00241216)
平松 修 川崎医療短期大学, 医用電子技術科, 助手 (50208849)
松本 健志 川崎医療短期大学, 医用電子技術科, 講師 (30249560)
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研究期間 (年度) |
1992 – 1993
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キーワード | 冠動脈 / 内皮細胞 / 血流速度 / 血管鋳型 / レーザースキャン顕微鏡 / 電子顕微鏡 |
研究概要 |
心筋内冠動脈において、血管内微細血流構造を20MHz超音波パルスドプラ血流速計を用いて精密に測定するとともに、血管鋳型や組織標本を対象にして、同血管部位の形態学的特微を観測した。すなわち、麻酔開胸犬を対象にして、まず左冠動脈中枢部の血流速度プロフィールを20MHz80ch超音波血流速計を用いて計測した。この際、心筋内の冠動脈分枝である心室中隔枝に注目して80の計測点からなる血流速度プロフィールを計測した。その結果、冠動脈血流は拡張期にほぼ放物線状のプロフィールで心筋内に流入するが、収縮期には、血管内のほぼすべての計測点で逆流が出現することが明らかになった。すなわち、心筋内冠動脈の内皮細胞に作用する剪断応力の方向が心周期内で2回変化することが示された。また、心筋収縮力を増強すると、収縮期の逆流は2相性になり、内皮細胞に作用する剪断応力方向の心周期内での変化は倍増した。ついで、このような特異な血流構造に曝されている血管内皮細胞の形態学的特徴を評価するため、血管の摘出標本、あるいはシリコン樹脂による血管鋳型を作製して、走査型電子顕微鏡および共焦点型レーザ走査顕微鏡を用いて検討した。その結果、血管分岐点より離れ、血流が一定方向に安定した部位の内皮細胞は、血流方向に沿って伸長していた。一方、血管分岐部でoscillatoryな血流に曝された内皮細胞は、その形態は一意的でなかった。これらの結果は、血管内皮細胞の微細構造を共焦点レーザー走査型顕微鏡で観察した実験結果ともよく一致した。以上の結果から冠動脈血管内皮細胞の配列・形態は収縮期に著しい逆流が生ずる左冠動脈-心室中隔枝分岐部と逆流が少ない心表面冠動脈では著しく異なり、心筋内slosh現象による血流方向のoscillatoryな変化が血管内皮細胞の血管形態・機能に影響を与えることが示された。
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