研究課題/領域番号 |
04557046
|
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
多田 雅夫 東北大学, 抗酸菌病研究所, 助教授 (10006083)
|
研究分担者 |
藤原 竹彦 東北大学, サイクロトロンRIセンター, 助手 (70238632)
岩田 錬 東北大学, サイクロトロンRIセンター, 助手 (60143038)
窪田 和雄 東北大学, 抗酸菌病研究所, 講師 (40161674)
福田 寛 東北大学, 抗酸菌病研究所, 教授 (30125645)
涌井 昭 東北大学, 名誉教授 (20006076)
|
キーワード | 腫瘍 / 標識グルコサミン / 質的診断 / 標識フルオロメラトニン / 陽電子放出核種 |
研究概要 |
癌が生体内で旺盛に増殖するには免疫応答、膜輸送、細胞分裂、細胞分化などにかかわる細胞膜表面の性質の変化が必要と考えられる。腫瘍での細胞膜の代謝を評価をすることを目的として、グルコサミン誘導体の腫瘍組織への集積機序を調べた。腹水肝癌AH109A担癌動物で、マクロオートラジオグラフィーによる投与した標識グルコサミンの組織分布の画像化を検討した。 ^<14>C-N-Acetyl-D-glucosamine( ^<14>C-NAG)と ^<18>F-Fluorodeoxy-D-glucose( ^<18>F-FDG)の2重標識としてブドウ糖代謝との関連もみた。 ^<14>C-NAGによるオートラジオグラフィーでは、増殖の速い腫瘍であるAH109Aで腫瘍自体へのアセチルグルコサミンの分布と同時に、腫瘍周囲の軟部組織への分布も認められた。これに対し ^<18>F-FDGでは腫瘍組織の部分のみへの分布がみられた。個体発生や組織再生の過程で細胞がmigrateする際に、間質に多量にふくまれているヒアルロン酸(グルクロン酸とN-アセチルグルコサミンからなる)が、癌細胞が周囲に浸潤していくところの組織中にも多く含まれており、癌の浸潤や転移に重要な役割をはたしている。ヒアルロン酸は水力学的作用により細胞間隙の大きさを変え、結合組織の細胞同志を隔てることにより、癌細胞の移動を容易にすると考えられる。増殖の速い癌であるAH109A腫瘍の周囲に ^<14>C-NAGが分布し、腫瘍の性質に糖蛋白の挙動が深くかかわっていることがわかった。ポジトロン標識グルコサミンの代謝を通じて腫瘍の浸潤や転移という癌の特徴の質的診断を研究することが可能と考えられる。 化学合成では、新規陽電子放出核種標識診断薬剤の[fluoroacetyl- ^<18>F]フルオロメラトニンの迅速化学合成法が完成した。
|