平成4年度に予定された研究は以下の如く順調に達成されると同時に新たな知見も得られた。 (1)NTIの投与時期の検討:BNをドナーLEWをレシピエントとした異所性ラット心移植を行い、生着延長効果を検討した。投与時期は術後7日間が最も良好な結果を得た(MST=9.5日)。 (2)NTIの投与量の検討:2mg/kg(MST=9.5日)投与群は10mg/kg(MST=10.3日)投与群と同程度の生着延長効果を得た(コントロールMST=6.9日)。 (3)サイクロスポリン(CYA)との相乗効果の検討:CYA(1mg/kg)(MST=9.2)に比較し、NTI(2mg/kg)+CYA(1mg/kg)投与群はMST=15.6と生着延長効果を得た。 (4)in vitroのNTIの効果に関する基礎的究:MLRおよびリンホカインの産生能の抑制効果はいずれも認められた(IC_<50>=7μg/ml)また、リンパ球遊走能も同様に抑制した。(国際移植学会、パリ、シンポジウムで発表) (5)オピオイド関連ペプチドの変動:活性化T細胞がオピオイドアゴニストであるM-enkを産生していることが明らかになると伴に、新たなる知見として、オピオイド関連ペプチドのACTHが移植後の拒絶反応の進行に従ってレシピエントの脾リンパ球で増大していることが明らかになった。これはオピオイドを介した拒絶反応に対する内因性のteedback機構が働いているものと考えられる。(日本外科学会発表、1992年、1993年)
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