研究概要 |
NTI投与によるラット腎移植における生着延長効果が得られたことより、つぎに大動物の臓器移植におけるNTIの投与による移植臓器の生着延長効果の検討が必要となってきた。本年度、我々はビ-グル犬を用いて同種腎移植を行ないNTIの生着延長効果を検討した。 〈実験群〉免疫抑制剤の投与プロトコールは以下のごとくである。I群(n=7):コントロール、10%DMSO10mlを術当日より七日間筋注(CNT群)、II群(n=10):術当日よりNT12mg/mg/日を七日間連日筋注(N2群)、III群(n=7):サイクロスポリン1mg/kg/日を連日筋注(C1群)、IV群(n=8):術当日よりNTI(2mg/kg/日)とサイクロスポリン(1mg/kg/日)を併用して筋注(N2C1群)、V群(n=6):術当日よりサイクロスポリン(2mg/kg/日)を連日筋注(C2群)およびVI群(n=6):サイクロスポリン(2mg/kg/日)とNTI(2mg/kg/日)を併用して筋注(N2C2群).生着日数:I(CNT)群は、平均15.3日、II(N2)群では平均20.7日、III(C1)群では、平均19.0日、IV(N2C1)群では、平均28.4日と相乗効果を示した。V(C2)群は、平均22.2日、さらにNTIを併用した群(M2C2)では(VI群)では平均45.0日、最長生着日数100日以上であった。 NTIの副作用:II群(N2),IV群(N2C1)およびVI群(N2C)のNTI投与群において、術後の末梢血中の腎機能、肝機能および末梢血液像に対する副作用は拒絶反応による影響以外には見られなかった。術後の消化器系に対する影響においても食欲不振、下痢、嘔吐、イレウスや体重減少などの副作用は見られなかった。 以上、平成5年度の研究計画は滞り無く実行された。
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