研究課題/領域番号 |
04557056
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
幕内 雅敏 信州大学, 医学部, 教授 (60114641)
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研究分担者 |
松波 英寿 信州大学, 医学部, 助手 (40219457)
川崎 誠治 信州大学, 医学部, 助教授 (80177667)
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キーワード | liver transplantation / recipient / donor / living donor / h-HGF |
研究概要 |
昨年までの検討では、臨床における最小グラフト重量は、患者の体表面積から割り出した標準肝重量の47%であったが、我々はさらに生体部分肝移植症例を積み重ねることにより、レシピエントの標準肝重量の41%のグラフトでレシピエントが生存しえる事を確認した。臨床においては、肝容量が不十分なため肝不全に至り死亡した症例は経験しなかった。 肝移植後に肝不全に至る可能性が高い状態として、術前に肝性昏睡を来たして状態が極度に障害されている症例が考えらたが、この症例は術前、術直前に血漿交換を行うことにより、術後早期の肝機能の改善が得られた。また、術前術後にアミノ酸バランスが崩れ意識障害が出現した症例では、術前術後に分枝鎖アミノ酸を投与することにより、意識障害の改善が得られた。 標準肝重量より小さいグラフトが移植された場合は、門脈圧が亢進すると考えられたが、ドップラー血流計で測定した門脈血流量、血流速度とグラフトの大小との間に有意な関連は見られなかった。したがって、標準肝重量の40%程度のグラフトが移植された場合は、術後急激に門脈圧亢進症が起こることはないと考えられた。 これらの症例で、術中(門脈再開後)急激にh-HGFが上昇し、手術終了時にはほぼ正常値付近まで下降することが確認された。この現象と術後の肝再生、肝機能の変動との関連は現在検討中である。 今後さらに症例を積み重ねるとともに、積極的な補助療法の開発を実験的に行う予定である。
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