研究課題/領域番号 |
04557064
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研究機関 | 国立循環器病センター |
研究代表者 |
塚原 徹也 国立循環器病センター研究所, 病因部, 室員 (30217278)
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研究分担者 |
谷口 隆之 京都薬科大学, 薬学部, 教授 (10111957)
下濱 俊 京都大学, 医学部, 助手 (60235687)
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キーワード | Recombinant brain-derived neurotrophic factor / Nerve growth factor / Neurotoxicity / Neurodegenerative disease / Parkinson's disease / Cerebral ischemia |
研究概要 |
1)in vitroの系の神経変性モデルを作製し、バイオテクノロジーにより産生した生理的に活性なヒト神経栄養因子の神経細胞の変性防止に対する有効性について検討した。BDNF NGFは、グルタミン酸処置の24時間前より培地に添加しておき、直前に正常液に交換した。グルタミン酸誘発神経細胞死に対するヒトNGF BDNFの細胞保護効果を、無処置群、グルタミン酸処置群、ヒトNGF BDNF処置後にグルタミン酸を添加した群(NGF低濃度および高濃度)間で、ニューロンの生存率で比較検討したところ、ヒトNGF、BDNFがグルタミン酸による細胞死を濃度依存的に抑制することが示された。この結果は、大脳皮質ニューロンにおいてNGFやBDNFの様な神経栄養因子によりグルタミン酸毒性が抑制されることを示す。しかもその特徴は、グルタミン酸と同時投与では無効であり、保護作用発現のために比較的長時間の前投与を必要とすることである。 2)ラット一過性前脳虚血後の神経栄養因子遺伝子発現制御についてノーザンブロット分析および免疫組織学的In situハイブリダイゼーション法を用いて検討し、さらに、細胞死に対するBDNF投与の効果についても検討することにより、細胞死と、BDNFとの関係について究明した。その結果一過性の前脳虚血後2時間から4時間にかけて、海馬および大脳皮質の両部位においてBDNFmRNA NGFmRNAの一過性の発現増加が認められた。また高濃度のNGF、BDNF(3.6μg protein)持続的脳室内投与による、海馬CA1領域における細胞死発生の有意な減少が確認された。 3)成熟ニホンザルにmethyl-4-phenyl-1、2、3、6-tetrahydropyridine(MPTP)を静脈内投与することによってパーキンソン病モデルを作製し、BDNFの効果を検討した。その結果、BDNFの脳室内投与がパーキンソン病予防効果を持つことが神経学的徴候からもまた組織学的にも確認された。
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