研究概要 |
画像処理装置内に蓄積されたそれぞれの患者データ,関節鏡画像データ,関節内超音波検査画像データ,レントゲン像などの各種画像データは,容易に画像の呼び出し,処理,相互の比較が可能となった.画像処理による関節軟骨の変性度指数と主観的な関節鏡視像による変性度との間に強い相関があることがさらに明確になり,客観的に関節軟骨変性度を評価できることがわかった.また,レントゲン像と関節鏡所見との比較により,従来変形制関節症の進行度の判定に使用されていたレントゲン像では,必ずしも変形性関節症の進行度を反映していないことがわかり,関節鏡の必要性が再認識された.関節内の超音波装置は切除骨による検討により,関節軟骨の観察が可能であることが確認され,臨床的に使用しやすいようにプローベを改良した.実際に生体下に関節軟骨の観察が可能であり,変形性膝関節症や慢性関節リウマチでは軟骨変性の進行が異なっていることが判明した.さらに症例数を増やし,その関節内超音波所見と関節鏡所見を比較した.それによると関節鏡所見が同じように見えても,すでに関節軟骨の厚さに変化のある症例があることがわかった.関節鏡により,軟骨の観察は可能であるが,表面のみしか見えず,関節軟骨内部の変化を見るためには関節鏡視下の超音波断層法が必要であることがわかった。さらに、疾患によっては部位によっても軟骨の厚さが異なっていることが明確になり,今後変形性膝関節症や慢性関節リウマチの病態の解明の一助になりうるものと思われた。また,治療前後の比較も容易に過去の画像データを引き出し,現在の所見との比較検討が可能であるため,その評価も容易であった.以上の結果は,すべて各種の画像データの比較検討より得られたが,我々の画像処理診断支援システムにより画像処理,比較検討が容易でありいままでに得られなかった各種データ間の相関関係などを明らかにすることができた。
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