研究課題/領域番号 |
04557074
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研究種目 |
試験研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
耳鼻咽喉科学
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
和田 仁 東北大学, 工学部, 教授 (30111264)
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研究分担者 |
山口 公典 株式会社小野測器, 音響技術研究所, 所長
小林 俊光 東北大学, 医学部, 助教授 (80133958)
高坂 知節 東北大学, 医学部, 教授 (80004646)
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研究期間 (年度) |
1992 – 1993
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キーワード | 計測 / レーザドップラ振動計 / 振動 / 基底板 / 増幅機構 / 蝸牛 / 耳音響放射 |
研究概要 |
会話領域では、鼓膜の振幅は、数ナノメータにすぎない。それにもかかわらず、ヒトの聴覚は、鋭敏な判別機能を示している。これは、内耳蝸牛において、何らかの増幅機構の存在しているためではないかと推察されているが、そのメカニズムはまだ、明らかにされていない。また、耳から音が出てくるという現象、耳音響放射(Otoacoustic Emissions:OAEs)は、この増幅機構の副産物であると考えられている。 本研究では、レーザドップラ振動計と複合顕微鏡を組み合わせた計測システムを構築し、モルモットの内耳蝸牛内基底板の振動を直接計測した。また、OAEsの中でも、動物でよく検出されるDistortion-products otoacoustic emissions(DPOAE)と呼ばれるOAEがあり、これは、非線形に起因すると言われている。そこで、DPOAEと基底板振動を同時に計測し、DPOAE発生時の基底板振動について検討した。その結果以下のことが明らかとなった。 1.基底板振動はモルモットの生きている状態と、死後で振幅が大きく異なる。これより、生きているときには、蝸牛内に増幅機構が存在するといえる。 2.基底板振動は、刺激入力音圧が小さいときほど、感度がよい。これより、蝸牛内増幅機構は、刺激音圧が小さいほど、強く働くと考える。 3.DPOAEと基底板振動を同時計測した結果、DPOAE発生時、基底板もその非線形成分の周波数で、振動することが、認められた。また、DPOAEが、もっとも大きく検出される入力音周波数比のとき、基底板振動の非線形成分も大きく検出された。これより、基底板振動の非線形成分は、DPOAEと同じ、発生機序によって生じていると考えられ、基底板の非線形的な増幅機構が、DPOAE発生に寄与していると示唆される。
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