研究概要 |
本年は3次元動体視力計を用いて、正常者による基礎実験と一部臨床応用を試みた。また,基礎実験の結果から装置の改良も行った。 1 正常者の基礎実験 10名19眼の被験眼で視標速度0〜100km/h,背景輝度0.1〜200cd/m^2の範囲でKinetic visual acuity(KVA)を測定した。結果は背景照度100cd/m^2までは輝度とともに上昇するが,200cd/m^2以上では低下した(日眼学会誌投稿中)。 10名18眼の被験眼で動体視力計の瞬間提示を利用して,提示時間(1〜1000msec)と背景輝度(0.1〜200cd/m^2)を変化させて静止視力を測定した。視力値は提示時間とともに上昇し,背景輝度10cd/m^2では時間的加重の臨界時間は約0.5sec以上であった。輝度がこの値未満の場合には臨界時間はこれ以上に延長した(日眼学会誌掲載予定)。 2 臨床的な検討 調節緊張症2名3眼と中心性漿液性網脈絡症1名1眼についてKVAと短時間提示視力を測定した。調節緊張症では短時間提示視力は良好であるが、KVAは不良であった。また,中心性漿液性網脈絡症では短時間提示視力とKVAは不良であった(日眼学会誌投稿中)。 3 装置の改良 ハードウエアの改良については,動体視力測定を正確にするため提示視標の切れ目が45度と135度のランドルト環2種を追加した。また,ソフトウエアについては1)誤答も記録する。2)1条件で可能な測定回数を増やす。3)視力判定までの時間を計測するなどの改良を加え,操作性を向上させた。
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