研究課題/領域番号 |
04557079
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
篠田 壽 東北大学, 歯学部, 教授 (80014025)
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研究分担者 |
石黒 恒男 味の素株式会社, 医薬事業部, 主任
五十嵐 薫 東北大学, 歯学部, 助手 (70202851)
三谷 英夫 東北大学, 歯学部, 教授 (50014220)
平藤 雅彦 東北大学, 歯学部, 助手 (20142987)
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キーワード | ビスフォスフォネート / 歯の移動 |
研究概要 |
平成4年度において、我々はビスフォスフォネート(AHBuBP)の全身投与により、矯正学的歯の移動や移動後の後戻りが強力に抑制されることを論文発表した。すなわち、0.5mgP/kgのAHBuBPを全身的に投与したところ、歯の移動が対照の約40%に抑制され、歯の移動後の後戻りも対照の約50%に抑制された。組織学的にも、AHBuBPを投与したラットでは出現する破骨細胞の数が減少し、形態的にも大きな差が認められた。また、歯の移動に伴う歯根の吸収もAHBuBPの投与により抑制されていた。以上の結果をふまえ、我々は臨床的な観点から、様々なビスフォスフォネートの中でも最も強力な骨吸収抑制効果を持つと考えられているRisedronateを局所的に用い、これが矯正学的歯の移動にどのような影響を与えるかについて検討した。その結果、歯の移動が対照の約50%に抑制され、歯の移動後の後戻りも対照の約60%に抑制された。組織学的な観察からRisedronate投与側では歯槽骨の吸収が対照側に比べて抑制されていることが確認された。さらに、矯正学的歯の移動に伴って歯の圧迫側に出現する破骨細胞の動態とそれに対するRisedronateの効果に関する組織学的評価を定量的に行った。その結果、Risedronateの局所投与により破骨細胞の出現が抑制されていることがわかった。また、Risedronateの局所投与はラットの全身成長にほとんど影響しないことが示された。これらの結果は、ビスフォスフォネートの投与により矯正学的歯の移動をコントロールし得る可能性を示していると考えられた。今後は、矯正学的歯の移動のコントロールに最も適したビスフォスフォネートの種類、投与量、投与方法について詳細に検討する予定である。
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