I.歯科材料の安全性試験基準の作成 1)歯科材料の安全性試験の国際的規準であるISO TC 106、TC 194の急性毒性試験、変異原性試験、細胞毒性試験、感作性試験、埋植試験の各基準について調査した。TC 194はバイオマテリアル全体にわたる水平的基準であり、またTC 106 WC 2は歯科材料の垂直的基準であり、両者の試験法には不一致が認められた。 2)以上の調査結果をもとに歯科材料の安全性試験基準案の作成を進め、歯科材料の分類に対応する試験項目の大網を作成した。 II.臓器モデルの開発と毒性試験への応用 1)ラット口蓋上皮組織片をトリプシン処理し、上皮細胞層を採取し、上皮細胞を培養する手抜を確立した。 2)上皮性培養細胞JTC-12細胞を24ウェルプレートに培養したのち、ミリセルに移し、経上皮電気抵抗(TER)を測定してから、細胞毒化学物質(アミノグリコシド系抗生物質)を投与し、TERの測定、蛍光プローブの漏出量測定およびカルボキシフルオレシンとプロビジウムヨーデイトで二重染色した細胞の蛍光自動測定システム(本補助金で購入)による生死判定を行った。抗生物質投与によるTERの減少は蛍光色素の漏出量と平行し、細胞間の接合構造の破壊を意味したが、細胞は生存しており、上皮のTERの減少が細胞初期変化の指標となることが明かとなった。 本年度の研究計画をほゞ完全に実施できた。
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