研究分担者 |
佐藤 剛 (株)ニコン, 相模原製作所・技術開発部・医用材料研究室, 係長
荻野 誠 (株)ニコン, 相模原製作所・技術開発部・医用材料研究室, 室長
岡 久雄 岡山大学, 工学部, 助教授 (80116441)
川添 尭彬 大阪歯科大学, 歯学部, 教授 (50076022)
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研究概要 |
最終年度としては,動揺度自動診断システムを用いて,天然歯同士を連結した場合の動揺度の経日変動を約2か月間測定し,連結をしなかったコントロール群との比較を行った。その結果,天然歯は,連結固定することによて,歯周組織の粘弾性特性に影響が現われ,その影響は,連結後数日間に大きいことがわかった。このことから,連結という負荷によってダイナミックな変化が歯周組織内で生じていることが推察できた。また,IMZインプラント(チタンエレメントを装着した状態)と天然歯を連結した場合のそれぞれの動揺度を実際の臨床例で長期にわたり測定した。 その結果,天然歯とインプラントでは,力学パラメータ値が約2倍から8倍インプラントの方が大きく,両者の周囲組織の粘弾性特性に大きな差のあることが認められた。今回の実験例では,連結固定前後で天然歯の動揺度の有意な減少はみられず,歯に対する動揺度軽減効果は認められなかった。しかし,天然歯での連結固定の結果から内部可動性の機構を持たないインプラントの動揺度は長期的に大きくなっていく可能性があり,この点については今後実験数を増やして長期の経過観察をする必要があると考えている。 一方,簡易型動揺度測定装置(T-Mテスタ)については,その実用性を高めるために口腔内で測定可能な大きさまでセンサーを含む測定プローブの小型化を図った。そのため,センサーの設計を新たに見直し,コストの面からの実用性についても検討を加えた。その結果,プロトタイプとして大臼歯までの測定が可能なT-Mテスタを完成することができた。 このテスタを用いて,天然歯およびインプラントについての測定を行い,モビリティ・インデックス(MI)が動揺度の指標として有用性の高いことを確認した。今後は,MIを共通の指標として複数の研究機関の協力によって,臨床データの蓄積が可能になると考えている。
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