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1992 年度 実績報告書

口腔癌の分子細胞生物学的特性に基づいた遺伝子診断法の開発とその応用

研究課題

研究課題/領域番号 04557090
研究機関徳島大学

研究代表者

長山 勝  徳島大学, 歯学部, 教授 (30022867)

研究分担者 森下 英昭  持田製薬株式会社, バイオサイエンス研究所
林 英司  徳島大学, 歯学部, 助手 (50173000)
力丸 浩一  徳島大学, 歯学部, 助教授 (40220800)
キーワード口腔癌 / 扁平上皮癌 / 遺伝子診断 / 分子細胞生物学
研究概要

口腔癌の大部分を占める扁平上皮癌の分子細胞生物学的特性について解析を進めた。その結果、上皮成長因子受容体(EGF-R)の過剰産生が認められたが、その遺伝子であるc-erbB-1の増幅は20%以下であった。一方、線維芽細胞成長因子様物質をコードしているといわれるint-2およびhst-1の遺伝子増幅の頻度は40%程であった。また、int-2およびhst-1の増幅は常に同時に起こっていたが、c-erbB-1の増幅とは独立していた。これらの遺伝子増幅を簡便かつ正確に検出するためのDifferential PCR法の開発に関する面では、公開されている染色体の塩基配列に関する情報が少なく、PCRプライマーの設計を現在続けている段階である。
p53およびras遺伝子の解析において、ras遺伝子の点突然変異の頻度は非常に少なく(3%)、この遺伝子の異常の口腔扁平上皮癌への関与はあまり多くはないことが推測されたが、これに対しp53遺伝子の変異が非常に多いことが明らかとなってきた。培養口腔扁平上皮癌細胞では、90%以上に、口腔癌組織においても60%余りにこの遺伝子に異常が起こっていることが明らかとなった。しかもその遺伝子異常は、そのほとんどがエキソン5から8の点突然変異であった。さらに、変異の明らかとなった細胞をSCIDマウスに移植し、形成された移植腫瘍を材料として免疫組織学的にp53蛋白質を検索したところmissense変異を生じている例のみが染色されることが明らかとなった。また、この結果を基礎に臨床材料におけるp53蛋白質の検索を行ったところ癌と判定することのできない白板症症例においても陽性例が認められた。このことは、p53の異常が口腔癌のかなり早期の段階で起こっている可能性を示唆するものと考えられた。以上の研究成果からも口腔癌領域における遺伝子診断法の開発および臨床への導入の必要性が高まっていると思われる。

  • 研究成果

    (2件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (2件)

  • [文献書誌] Eiki Sakai: "The p53 tumor-suppressor gene and ras oncogene mutations in oral squamous-cell carcinoma." International Journal of Cancer. 52. 867-872 (1992)

  • [文献書誌] 力丸 浩一: "腫瘍とEGF" 臨床消化器内科. 11. 1855-1862 (1992)

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公開日: 1994-03-23   更新日: 2016-04-21  

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