研究概要 |
金属反応剤の金属部位に配位して金属反応剤を活性化し且つ立体化学制御機能をも発揮するキラルなルイス塩基は、基本的な不斉触媒として有用である。逆の発想から生まれたキラルルイス酸が不斉触媒として広範な検討が成されているのに対して、キラルルイス塩基を触媒化する試みは殆ど報告されていない。本研究では、この数年の我々独自の先端的不斉反応研究の成果を基盤として、キラルルイス塩基としてジアミンおよびエーテルを設計・合成しこれらを単に反応系に触媒量共存させるだけで、光学活性な反応生成物が得られる効率の高い不斉反応の一般化を目的とした。 当該年度は以下の三項目を集中的に検討し、以下の成果を得た。 1.キラルルイス塩基を触媒とする不斉β-ラクタム合成反応の検討:リチウムエステルエノラートとイミンの縮合反応を触媒するキラルアミノエーテルを見いだし、5モル%でも84%eeでβ-ラクタムを与えることが分かった。 2.有機金属の不飽和結合への不斉付加反応の検討:90%eeを達成した。 3.キラルルイス塩基構造の最適化の検討:1,2-アミノエーテル構造が有効であることが分かった。
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