研究概要 |
アカネ科、クワ科、ノウゼンカズラ科植物培養細胞より、それぞれイリドイド系モノテルペン配糖体、プレニルカルコン、及びフラノナフトキノン高生産培養細胞を得、これらの二次代謝産物の生成機構を明らかにすると共に、単離した物質については、in vitroならびにin vivoにおける発癌プロモーション抑制活性を調べた。 1)クチナシ果実とその培養細胞ならびにGenipa americana果実の主イリドイド成分であるgeniposideの非糖部genipinはRaji細胞のTPAによる発癌プロモーションを強く抑制し、4-ニトロキノリンNオキシドをイニシエーターとするマウスの実験的肺癌のグリセリンによる発癌プロモーションを顕著に抑制することを認めた。 2)クワ培養細胞の生産するchalcomoracin,kuwanon Jなどのプレニルカルコンも発癌プロモーション抑制活性を示す。両物質のプレニル部分は、共存するβ-sitosterolが定説通り3分子の酢酸から直接導かれるメバロン酸を経て形成されるのに対し、glucoseから解糖系を経て生成する酢酸が第一酢酸単位となり、これにtrioseから五炭糖リン酸回路を経て形成される酢酸が第2,第3の単位として結合し、メバロン酸を経て、プレニル基となることが判明した。これは新規イソプレノイド生合成経路の存在を明確に示す最初の例である。 3)クワのフェニルプロパノイド由来部分の形成には、フェニルアラニン、チロシンのいずれもが同等の寄与をすることが^<13>C標識アミノ酸の投与実験により判明した。 4)南米産ノウゼンカズラ科植物Tabebuia avellanedaeをカルス化し、その生産する5-hydroxy-2-(1-hydroxyethyl)-naphtho-[2,3-b]furan-4,9-dioneが顕著な抗発癌プロモーション抑制活性を示すことを見出した。
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