研究概要 |
アカネ科、クワ科、ノウゼンカズラ科植物培養細胞より、それぞれ抗癌促進活性の顕著なイリドイド系モノテルペン配糖体、プレニルカルコン、及びフラノナフトキノンを高収率で得た。これらの二次代謝産物について、生成機構、in vitroならびにin vivoにおける抗発癌促進活性を調べた。【1】クチナシ果実とその培養細胞ならびにGenipa americana果実の主イリドイド成分であるgeniposideの非糖部genipinはRaji細胞のTPAによる発癌促進を強く抑制し、マウスの実験的肺癌のグリセリンによる発癌促進やDMBAをイニシエータとするTPAによる乳頭腫形成を顕著に抑制した。【2】クワ培養細胞の生産するchalcomoracin,kuwanonJなどのプレニルカルコンもTPAに対し1000倍の濃度で発癌促進を完全に阻止したが、リンパ細胞の生存率は30%であった。両者の等モル混合物は、活性はそのままでリンパ芽細胞の生存率は60%に上昇した。両物質のプレニル部分は、glucoseから解糖系を経て生成する酢酸が第一酢酸単位となり、これにtrioseから五炭糖リン酸回路を経て形成される酢酸が第2、第3の単位として結合し、メバロン酸を経て、プレニル基となることを証明した。【3】クワのフェニルプロパノイド由来部分の形成には、フェニルアラニン、チロシンのいずれもが同等の寄与をすることが^<13>C標識位置の異なる両アミノ酸の同時投与実験により証明した。【4】南米産ノウゼンカズラ科植物Tabebuia avellanedaeのカルスの生産する5-hydroxy-2-(1-hydroxyethyl)-naphtho-[2,3-b]furan-4,9-dioneや関連ナフトキノンが顕著な抗発癌促進活性を示すことを見出した。
|