研究概要 |
開発・試作した3-モルフォリノプロピルシリルシリカゲル充填剤が溶離液に緩衝液のみを使用して,水溶性ビタミンやうま味成分の分離・定量,核酸関連物質の分析を短時間に達成することができた.これらの結果を実用化に結びつけるために,同一ロットの充填カラムを多数調製し,性能評を他機関(大学,企業の研究所等)に依頼した.2.上記充填剤の使用により糖類のうちで二糖類や三糖類の分離(十数種類)ができることがわかった.実試料(輸液,ソフトドリンク等)の分析への応用をはかり,好結果を得た.本法は従来用いられてきた非HPLC法(ベルトラン,ソモギ法)との間に良好な相関性が認められた.この結果から実用性に期待が持たれる.3.旨味成分に関連したプリン核を有する核酸関連物質(イノシン酸他)の分離ができることがわかった,そこでこれらの分離定量ならびに関連の酵素の簡便迅速な酵素活性定量法の開発を検討したところ好結果を得た.4.上述の充填剤の使用により目薬成分の予備的分析から数種のアルカロイド塩類(例.塩酸ナファゾリン,メチル硫酸ネオスチグミンやマレイン酸クロロフェニラミン等)が分離できることが判り,実用分析への応用を検討した.5.ヒドロキソコバラミンやビタミンB12の簡便で精密な分析に適用可能なことがわかり,定量の実用化研究を進めた.6.3-アミノプロピルシリルシリカゲルを基材としてpi-pi相互作用発現が期待できる充填剤の開発を試みた.色素および各種アシロイル化カラムを調製し,特に核酸関連物質の分離に有用であることを示した.更に生体試料中或は医薬品中の生理活性物質の分離分析・定量法の確立を目指したキラル識別充填剤の開発についても研究を行なった.
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