研究課題/領域番号 |
04557104
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
中山 守雄 熊本大学, 薬学部, 助教授 (60164373)
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研究分担者 |
四方田 勇 第一ラジアイソトープ研究所, 研究開発部, 研究員
富口 静二 熊本大学, 医学部, 講師 (20172182)
原田 久美子 熊本大学, 薬学部, 助手 (70150547)
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キーワード | テクネチウム / 高分子スズ錯体 / アミノホスホン酸基 / 免疫グロブリン |
研究概要 |
^<99m>Tc標識放射性医薬品は、現在、臨床上最も有用な核医学診断薬であり、その使用頻度も年々増加傾向にある。しかし、その製造には、^<99>Mo-^<99m>Tcジェネレータより得られる安定な+7価のTcを反応性の高い+1、3、4、5価のTcへ還元する操作が不可欠である。現在、この還元には、塩化第一スズが使用されているが、還元力が強い反面、加水分解や空気酸化を受けやすいなど非常に不安定であり、複雑な錯体種形勢の要因ともなっている。本研究は、このスズのもつ高い還元能を生かすと同時に上記の問題を解決する手段として、スズを+2価の状態で多量かつ強固に結合した高分子スズ錯体を開発することを主目的としている。本年度は、この高分子スズ錯体を、抗体の^<99m>Tc標識に応用し、以下の知見を得た。 1.モノクローン抗体などの抗体タンパク質は、多量に入手することが困難な場合も多い。そこで、微量での標識条件を確率するための基礎的検討を行った結果、標識時のタンパク質濃度20μg/mlまでは、再現性良く、ほぼ100%の収率で、迅速な標識が可能であることが明らかになった。また、この方法は、α-フェトプロテインのモノクローン抗体に応用した場合でも、濃度に注意を払うことによって、容易に標識できることも確認した。 2.高分子スズ錯体の調製法の改良を行い、ほぼ、スズの脱離がない、一定の品質のものを得ることに成功した。 3.この高分子錯体を用いた場合でも、発熱性物質などの混入がないことも確認した。 ^<99m>Tcの還元に高分子スズ錯体を使用する本法は、不均一系における標識反応であるが、抗体の標識に用いた場合、短時間の標識操作でほぼ100%の効率をもって、安定な^<99m>Tc標識体が調製できることが明らかになった。
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