研究課題/領域番号 |
04557109
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
早津 彦哉 岡山大学, 薬学部, 教授 (10012593)
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研究分担者 |
築城 寿長 ダイワボウ, クリエイト, 研究員
斎藤 寛 岡山大学, 薬学部, 教授 (20025711)
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キーワード | グリーンレーヨン / Fe^<3+>-オクタカルボキシルフタロシアニン / Trp-p-2 / cigarette smoke condensate / 金属ポルフィリン / ペルオキシダーゼ / 酸化的分解 |
研究概要 |
近年の環境科学の進展により、環境中の有害性汚染物質の実態が明らかになってきた。これらの中には突然変異誘起性、さらに発がん性を有するものも多くある。環境中の変異原物質を除去することは人間の健康にとって重要であるが、従来このような目的で方法を開発し、実用化することは全くなされていなかった。本研究では、変異原に接触して分解する能力のある材料を開発し、実用化することをめざした。 Fe^<3+>-オクタカルボキシルフタロシアニン(Fe-OCPC)は、ペルオキシダーゼ様の酸化作用を持つことが知られており、それを担持したセルロースFe-OCPC-セルロース(グリーンレーヨン)には消臭作用があることが知られている。一方我々は銅フタロシアニン・セルロース(ブルーレーヨン)が多環性芳香族を特異的に吸着することを見出しており、グリーンレーヨンも疎水的に平面状多環化合物を吸着することが基待された。がん原性へテロサイクリックアミンの1つTrp-p-2溶液にグリーンレーヨンを入れ振とうすることによって、Trp-p-2が吸着分解されることを見出した。またこの分解は過酸化水素の添加により促進された。cigarette smokecondensate(SCS)に応用したところ、グリーンレーヨンによりCSC中の変異原活性が減少することがわかった。 またフタロシアニン環と類似の平面構造を有する金属ポルフィリンを担持した樹脂のペルオキシダーゼ活性と、Trp-p-1の分解能を調べた。その結果、金属としてマンガンやコバルトを持つ時、Trp-p-1の酸化的分解が強く起こった。鉄では弱い作用を示し、銅や亜鉛では分解作用を示さなかった。この分解作用も過酸化水素の添加により促進された。 Trp-p-1の酸化的分解物についても研究を進め、Trp-p-1より親水性の強い化合物であることを示唆する結果を得ている。
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