研究課題/領域番号 |
04557115
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
武田 裕 大阪大学, 医学部・附属病院, 助教授 (20127252)
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研究分担者 |
増山 理 大阪大学, 医学部・附属病院, 医員
田内 潤 大阪大学, 医学部, 助手 (20197544)
井上 通敏 大阪大学, 医学部・附属病院, 教授 (30028401)
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キーワード | 心臓超音波法 / 自動計測 / 画像処理 |
研究概要 |
本研究の目的は、超音波断層法により得られる画像から自動的に心機能評価指標を計測する技術を開発することである。前年度は基礎的なアルゴリズムの検討を行い、今年度は誤差要因を検討し、アルゴリズムの改良および臨床応用を行った。 本研究では断層像として描出される左室壁像に対してオプティカル・フロー法を適用し、任意の部位の左室壁運動を追跡し、心室壁上の2点間の距離の変化から左室局所の収縮を定量的に評価している。このためには、左室壁局所の運動を精度良く追跡することが不可欠である。本研究で用いたアルゴリズムの妥当性を検証するため、マイクロメータで駆動されたファントムの画像を用いて本法の計測精度を評価した。その結果、計測誤差は±0.4mmにまで減少させることができ、超音波断層像の分解能の限界まで計測精度を高め得ることが明らかとなった。 経胸壁的に得られた超音波断層像を対象とした場合には、画像のノイズや心拍に伴う断層面の移動などの原因により、ファントム画像の場合よりも精度が低下する。さらに左室壁像の性状が均一な場合などの画像の条件によっては本来の壁運動とはかけ離れた計測値が得られる場合も見られた。臨床例5例について検討したところ、これらの対策を行わない場合にはMモード法による計測値と比較して平均23%の計測誤差であった。これに対して収縮処理(erosion)を拡張したフィルタ操作を行い、ノイズの除去と左室壁像内での特徴点の抽出を前処理として行うことにより、計測誤差を4.6%に低減することができた。さらに関心領域近傍の結果と前後の時間の結果から大きく異なる場合には再計測するアルゴリズムを導入することにより、計測誤差はさらに低減され平均1.3%となった。 本研究により、超音波断層像から左室運動を自動的に計測することができることが示された。さらに左室壁の動きを自動的に追跡する本法の新しい応用として、左室心筋層の造影効果を心拍による壁運動の影響を受けずに評価する可能性について期待される。
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