研究課題/領域番号 |
04557116
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
祖父江 憲治 大阪大学, 医学部, 教授 (20112047)
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研究分担者 |
林 謙一郎 大阪大学, 医学部, 助手 (90238105)
田中 潤也 大阪大学, 医学部, 助手 (70217040)
乾 誠 大阪大学, 医学部, 助手 (70223237)
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キーワード | 細胞骨格 / 間接螢光抗体法 / アクチン / ミオシン / カルデスモン / トロポミオシン / 細胞内局在 |
研究概要 |
細胞骨格蛋白質の細胞内局在を正確に決定する方法として、従来電子顕微鏡による直接的な観察方法が一般的に用いられてきた。しかし、固定の影響や界面活性剤処理による膜の可溶化のために生体内での本来の局在位置とは異なってしまう可能性が否定できない。我々は生化学実験から導き出されたいくつかの細胞骨格蛋白質の特性を考慮に入れた選択的抽出法と間接蛍光抗体法による形態学的観察を組み合わせ、当該蛋白質の動的特性をも解析しながらその細胞内局在を明らかにしていく方法を、正常線維芽細胞とそのラウス肉腫ウイルスによる形質転換細胞を用いて検討した。正常線維芽細胞では、収縮系蛋白質(ミオシン・カルデスモン・トロポミオシン・アクチン)はほとんどがストレスファイバー上に分布しているが、形質転換細胞ではおもに動的接着部周辺に局在するようになる。低張な緩衝液を用いて背側の細胞膜を除去する方法によって、ストレスファイバーと動的接着部のマイクロフィラメントの安定性を比較した。その結果、ストレスファイバーでは各蛋白質間の結合が強く、容易には各要素を抽出できないこと、それに対し動的接着部ではミオシン・トロポミオシンが簡単に遊離し、カルデスモンがアクチンフィラメントに対しCa^<2+>存在下でカルモデュリンとともにインキュベートすることによって抽出できるなど各蛋白質間の相互作用が弱いことが明らかになった。動的接着部に収縮系蛋白質の集積をみたことから、動的接着部の活発な運動性はアクトミオシン系に由来しているものと考えられた。動的接着部においては、カルデスモンの分布がミオシン・トロポミオシンと解離しており、カルデスモンがアクチンフィラメントの束形成などアクトミオシン系の活性調節以上にもなんらかの機能を果たしている可能性が示唆された。
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