研究概要 |
レーザ光源についてはTOLD151(810nm),131(830nm),300(1310nm),350(1550nm),9200(670nm),LT026MD(780nm)について自己混合効果を検討した結果,LT026MDが有効であることの結果が得られた。 生体中のサンプリングボリュームの推定については,動物から摘出した組織片および血液を用いて検討した結果,長波長レーザ光ほどそのボリュームは大きく,またその値は組織中を流れる血液のヘマトクリット値により大きく変動することなどの知見を得た。したがって本研究で開発を進めているシステムはレーザ光の光源の波長が780nmであるために,従来のHe-Neレーザ光(波長632.8nm)に比べてより大きなサンプリングボリューム,すなわち皮膚内のより広い範囲の血流情報が得られることが窺われた。 回転円盤表面の同心円状の溝に種々のヘマトクリット値の血液を入れて回転させ,その血液へレーザ光を照射することによって,血液のような多重散乱体からの自己混合効果を検討した。その結果,単一散乱体とは明らかに異なり方向判別が因難となったが,血液の流進と信号との間には良好な線形関係が得られ,種々のヘマトクリット値をもつ血流に対しても,単一散乱体と同様に速度計測が可能である結果が得られた。 ガラスキャピラリ(内径0.3mm,30本)を用いて作成した,横疑組織血流見モデルに,3〜7%のヘマトクリット値の血液を種々の流量で流し,血流量と自己混合効果によって得られた信号を検討した。その結果、最大シフト周波数と血流量の間に良好な相関がみられた。このことは,F-V変換システムの応用が可能なことを示すものでもあり,これにより、信号処理の簡易化が計られ,よりシンプルな血流計測システムとなることが窺われた。
|