研究課題/領域番号 |
04557120
|
研究種目 |
試験研究(B)
|
配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
応用薬理学・医療系薬学
|
研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
野村 靖幸 北海道大学, 薬学部, 教授 (00034041)
|
研究分担者 |
北村 佳久 京都薬科大学, 助教授 (60195295)
岡田 文彦 北海道大学, 保健管理センター, 助教授 (40109517)
徳光 幸子 北海道大学, 薬学部, 助教授 (60001046)
松田 彰 北海道大学, 薬学部, 教授 (90157313)
菊池 徹 富山医科薬科大学, 和漢薬研究所, 教授 (40025680)
|
研究期間 (年度) |
1992 – 1994
|
キーワード | 老化促進モデルマウス / 記憶障害 / 老化 / 予防治療薬 / 和漢薬 / 薬効評価 / 神経化学 / 薬理学 |
研究概要 |
老化促進モデルマウス(senescence accelerated mouse, SAM)のP8系は加速的老化症状とともに記憶障害を示す。4ケ月齢のSAMP8系雄性動物を使用し、和漢薬の記憶障害改善作用を検討し、以下の新知見を得た。和漢薬標品として、末梢血流改善作用を有する丹参のメタノール抽出物を使用した。本抽出物を500mg/kg/dayを3週間経口投与した後、Morrisの水迷路法により、室間認知機能に対する効果を観察したところ、対照群に比して有意に改善することがわかった。また、本抽出物投与群では対照群との間に運動量に差は認められなかったが、水槽内遊泳における不動時間を短縮することが認められた。次にこのような丹参のメタノール抽出物の中枢高次機能改善効果の神経化学的機構を明らかにする目的で、脳部位別のNMDA型グルタミン酸受容体(NMDA-R)、一酸化窒素合成酵素(NOS)活性を測定したところ、本抽出物の反復投与群の大脳皮質でNMDA-R、脳幹でNOS活性を有意に増加することが分かった。こうしてSAMP8系動物は加齢に伴う脳高次機能障害、とくに記憶障害に対する予防治療薬の薬効評価に有用な動物であること、また丹参は脳シナプス伝達機能、受容体応答機能を亢進し、記憶改善効果を示すことが分かった。丹参はこれまで血管拡張や鎮静、精神安定、鎮痛などの作用を有することが知られていたが、今回、加齢に伴う記憶障害を改善することが明らかとなった。その化学的本体の同定、さらにこれをリ-ド化合物としたより有効な化合物の開発、また、詳細な予防治療作用機構の解明をめざして、現在検討を続けている。
|