研究課題/領域番号 |
04557123
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
笹 征史 広島大学, 医学部, 教授 (20025654)
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研究分担者 |
芹川 忠夫 京都大学, 医学部, 教授 (30025655)
松林 弘明 広島大学, 医学部, 助手 (60165850)
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キーワード | トレモアラット / 欠神様発作 / 自然発症てんかんラット / 抗てんかん薬 / 海馬錐体細胞 / カルシウムイオンチャンネル |
研究概要 |
トレモアラット(tm/tm)は自然発症てんかんラット(zi/zi,tm/tm)より長命であり、室温23±2℃、湿度55±5%の条件下にて30週以上生存することが判明した。この動物を用い、次の成績が得られた。(1)生後6〜7週に慢性記録電極を左右海馬CA3野、左右大脳皮質に設置し、6ケ月間にわたり脳波を記録した。この結果、欠神様発作時に脳波上に認められる5-7Hzの棘徐波結合は最初に(8-9週令)左海馬に認められ、生育していく間に左大脳皮質、次いで右大脳皮質および右海馬に認められるようになった。すなわち、発作焦点は左海馬CA3野にあり、ここから生育していく間に発作波が対側へと進展していくと考えられた。(2)トレモアラットの欠神様発作がSERのそれと脳波的、薬理学的に同質のものであるか否かを明らかにするため、広く臨床使用されている抗てんかん薬に対する反応性を検討した。欠神様発作に伴って出現する5-7Hzの棘徐波複合は人の欠神様発作に有効なトリメサジオンおよびエトスキシシドによって抑制され、人の欠神様発作(小発作)と強直-間代性けいれん(大発作)に有効なバルブロ酸およびフェノバルビタールによっても抑制された。しかし、人の欠神様発作には無効なフェニトインはこの棘徐波複合を抑制しなかった。これらのことからトレモアラットの欠神様発作はSERのそれと同質のものであり、欠神様発作発現のメカニズム解明と、欠神様発作治療薬開発のために有効なモデルであることが明らかにされた。(3)海馬細胞を単離し、パッチクランプ法により、このカルシウムチャンネルについて検討した。この電位依存性カルシウムチャンネル電流は、少量のニカルジピンにより抑制された。 以上、トレモアラットの欠神様発作の性状を明らかにすることができ、多方面への薬理学的応用が期待できる。
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