研究概要 |
1.老人患者と学生とのコミュニケーション阻害の実情調査 臨床実習中に学生が老人患者の援助時に生じたコミュニケーション阻害の実情を調査した.意欲的にリハビリテーションを受けない事例や体調で著しく変化するケースなどの報告がみられ,その特性が明らかになった. 2.ロールプレイングの実施,上演状況の録画記録とその分析 学生の上演状況を録画記録し,学生に再視聴させたので発言内容やその意図について理解を深めさせることができた.また,発言や役割行動を時系列に従って個別回答分析法を適用して分析した.望ましい応答(共感受容的)と望ましくない応答(拒否・非難など)の上演行動の特色が確認できた. 3.ロールプレイング参加効果の組織的分析 個別回答分析法を用いて,ロールプレイングを講義前に行うのがよいか,それとも講義後が適切かという実施時期についての実験的授業を実施し比較・検討した.その結果,初期は課題意識を喚起させるために,終末では学習の総括発展として活用するのが有効であることが確認できた. 個別回答分析法;外人数の集団のロールプレイング効果の判定法としてわれわれが開発したものである.個々の参加者にロールプレイングの前後に援助の必要な場面を提示し「自分が看護婦としてその場にいたらどう話すか」を自由に記述させる.そして,回答内容を共感性の度合を判定基準としてキーワードと文脈から4段階(共感受容,部分的受容,援助者中心,拒否・非難など)に評価する方法である.日本健康心理学会・日本保健医療行動科学会等で高い評価を受けている.
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