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1992 年度 実績報告書

白血病における遺伝子診断法の開発と実用化

研究課題

研究課題/領域番号 04557133
研究機関東京大学

研究代表者

平井 久丸  東京大学, 医学部(病), 講師 (90181130)

研究分担者 杉本 耕一  東京大学, 医学部(病), 医員
三谷 絹子  東京大学, 医学部(病), 医員
千葉 滋  東京大学, 医学部(病), 助手
豊島 秀男  東京大学, 医学部(病), 助手 (20197966)
間野 博行  東京大学, 医学部(病), 助手 (90240704)
キーワード急性前骨髄球性白血病 / PML / RARのキメラ遺伝子 / t(15;17)転座 / RT-PCR法 / 複合転座
研究概要

白血病の治療計画上の一つの問題点は治療後の残存白血病細胞の評価の問題である。臨床上は形態学的に芽球数が骨髄細胞の5%以下であれば完全寛解とされるが、実際に残存する白血病細胞の数は不明であり、高感度な検出法の確立が望まれている。本研究計画においては染色体転座の結果生ずるキメラ遺伝子を検出する分子生物学的方法について検討した。急性前骨髄球性白血病(APL)の70%以上にt(15;17)転座が認められる。この転座の切断点の遺伝子がクローニングされた結果,15番染色体上のPML遺伝子と17番染色体上のレチノイン酸受容体α鎖遺伝子(RARα)の間で組み換えを生じて,PML/RARα型のキメラ遺伝子を形成することが明らかにされた。PML/RARαキメラ遺伝子の接合点をはさむブライマーを設定し、Rt-PCR法を用いて検出した。APL白血病細胞を正常細胞で希釈して、RT-PCR法で解析した結果、10^5〜10^6個に1個のキメラ遺伝子をもった白血病細胞が存在すればこれを検出できることが判明した。この症例は化学療法前には骨髄細胞中の白血病細胞は90%であり、キメラ遺伝子は検出されたが,治療後の完全寛解時にはこのキメラ遺伝子は検出されなかった。このことから、この症例では治療後の白血病細胞は骨髄細胞の10^5〜10^6個に1個以下であると結論された。他の1例は複合転座の症例で、15g-,17g-,18g+の核型を示し、臨床的にはAPLと診断された症例である。RT-PCR法による解析の結果、この症例の骨髄細胞においてもPML/RARのキメラ遺伝子が形成されていることが明らかとなった。このことから、この症例はt(15;17)転座を生じたあとに,18番染色体への転座を生じたと結論された。以上より、RT-PCR法を用いた上のような診断法は、治療後の白血病の評価や複合転座の診断の確定に有用であると考えられた。

  • 研究成果

    (7件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (7件)

  • [文献書誌] Sugimoto K et al.: "Frequent mutations in the p53 zene in human myeloid leukemia cell lines." Blood. 79. 2378-2383 (1992)

  • [文献書誌] Mitani K et al.: "Two myelodysplastic syndrome cases with the inv(11)(P15q23) as a sole chromosomal abnormality." Brit.J.Haematol.81. 512-515 (1992)

  • [文献書誌] Toyoshima H et al.: "Differently spliced cDNAs of human ltk receptor tyrosine kinase predict receptor proteins with and without tyrosine kinase domain and a sduble receptor protein." Proc.Natl.Acal.Sci.USA.

  • [文献書誌] Sugimoto K et al.: "Mutations of the p53 gene in myelodysplastic syndromes and MDS-derived leukemia." Blood.

  • [文献書誌] Hanazono Y et al.: "c-fps/fes protein-tyrosine kinase is implicated in a signaling pathway triggered by granulocyte-macrophage colony-stimulating factor and IL-3." EMBO J.

  • [文献書誌] Sasaki K et al.: "Coordinate expression of the α and β chains of human grawulocyte-macrophage colony-stimulating factor receptor confers hgand-induced morphological transformation in mouse fibroblasts." J.Biol.Chem.

  • [文献書誌] 平井 久丸他: "遺伝子からみた癌の病態と診断" 羊土社, 151 (1992)

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公開日: 1994-03-23   更新日: 2016-04-21  

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