研究概要 |
平成4年度は以下の研究を実施した. 1.図情報の表現方法の考案 名古屋盲学校の近辺,あるいは盲学校生が必要とする地域の環境地図を例に取り,地図などの図情報をどのように表現すれば盲人にとって理解しやすいかを検討した.その結果,空間的広がりと配置を触覚で,個々のランドマークを音声で表現する,マルチメディア表現を採用した.この表現方法の良否を評価するために,実際に,名古屋盲学校の近辺の環境情報を収集した.この際,交通量,特徴的な音を出す店(例えば,パチンコ),魚屋などの特徴的な臭いのする店等,視覚以外のモダリティにより感知できるあらゆる情報をも集めた. 2.マルチモダリティ・ファイルの作成 収集した環境情報に基づき,地図上の各地点で感知される特徴を,モダリティ毎に整理し,データベースを作成した.このファイルは,道路網を表わす触情報,地名を表わす音声情報,交通量や店の様子を表わす音情報,日照/日陰を表わす温冷情報,風の強弱を表わす圧情報等で構成される. 3.触情報呈示部の製作 データベース内の道路網を,触地図として呈示し,同時に,地図上での使用者の指の位置を計測できるような,触情報呈示部を製作した. 4.予備的な心理実験の実施 触情報でどれだけの図を表現できるかを,盲人を被験者として実験した.その結果,地図の階層表現もしくはハイパーリンク表現などの工夫が必要であることが分かった.
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