ラット受精卵の凍結保存法に関する標準化とネットワークの構築

1992 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 04558012
• 研究機関: 北海道大学
• 研究代表者: 笠井 憲雪 北海道大学, 医学部, 助教授 (60001947)
• 研究分担者: 山下 匡 北海道大学, 獣医学部, 助手 (30220338) ; 平林 真澄 雪印乳業, 生物科学研究所, 研究員 ; 葛西 孫三郎 高知大学, 農学部, 助教授 (60152617)
• キーワード: ラット受精卵凍結の慢法 / ラット受精卵凍結ガラス化法 / ラット受精卵採取方法 / 誘起排卵法 / 自然交配法 / 凍結保護液 / 凍結保存受精卵データベース / 凍結受精卵情報ネットワーク

研究概要

本研究では実用的なラット受精卵の凍結保存方法を確立するために次の事を目的とした。1.従来の緩慢法を用いた各種のラット受精卵凍結方法を検討し、凍結方法の標準的方法を示す。2.ラット受精卵凍結のガラス化法(Vitrification法)を開発する。3.効率の良いラット受精卵の採取法を確立する。4.国内におけるラット受精卵凍結保存の実態を調査し、分与可否を含めてこれらの情報のデータベースを構築し、公表する。また保存施設間の情報交換のネットワークを作る。
初年度を終了し、次の研究を行い、さらに継続中である。
1)現在までに発表されているラット受精卵凍結の緩慢法について、我々の方法と比較検討した。2)ラット受精卵凍結のガラス化法に用いる溶媒の組成について各種成分を検討している。3)ラット受精卵の採取方法について(1)幼弱ラットをPMSG(妊馬血清性性腺刺激ホルモン)とhCG(ヒト胎盤性ゴナドトロピン)を用いて過排卵を誘起させ、各近交系による系統差を調べている。(2)成熟ラットの自然排卵を利用した自然交配法と成熟ラットのPMSG、hCGによる過排卵法、および上記の幼弱ラットを用いる過排卵方法と比較を行っている。さらに4)ラット受精卵凍結保存を行っている施設に対し、保存方法、保存系統名、分与の可否等の調査を行っている。

研究成果

• [文献書誌] M.KASAI,Y.HAMAGUCHI,S.E.ZHU,T.MIYAKE,T.SAKURAI,and T.MACHIDA: "High Survival of Rabbit Morulae after Vitrification in an Ethylene Glycol-Based Solution by a Simple Method" BIOLOGY OF REPRODUCTION. 46. 1042-1046 (1992)
• [文献書誌] M.KASAI,M.NISHIMORI,S.E.ZHU,T.SAKURAI,and T.MACHIDA: "Survival of Mouse Morulae Vitrified in an Ethylene Glycol-Based Solution after Exposure to the Solution af Various Temperatures" BIOLOGY OF REPRODUCTION. 47. 1134-1139 (1992)
• [文献書誌] Miyoshi,I.,Ishikawa,K.,Kasai,M.,and Kasai,N.: "A Practical Transport System for Mouse Embryos Cryopreserved by Simple Vitrification" Lab.Anim.Sci.42(3). 323-325 (1992)
• [文献書誌] Kasai,N.,Miyoshi,I.,Osanai,T.,Yamashita,T.,Kamimura,E.,and Yoshida,C.M.: "Effects of Sex Hormones on Fulminant Hepatitis in LEC Rats:A model of wilson's disease" Lab.Anim.Sci.42(4). 363-368 (1992)
• [文献書誌] Kasai,N.,Kamimura,a.,and Miyoshi,I.and Ariga,T.: "Ganglioside Distribution in the Liver of Inbred Strains of Rats and the Concer Liver of LEC Rats." J.Biochem.(1993)