研究課題/領域番号 |
04558018
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研究機関 | 大妻女子大学短期大学部 |
研究代表者 |
岡田 安代 大妻女子大学短期大学部, 家政学部, 助教授 (90118729)
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研究分担者 |
本村 洋美 東京農工大学, 工学部, 助手 (90092501)
森田 全三 東京農工大学, 工学部, 教授 (50016408)
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キーワード | 光退色 / 光-汗複合退色 / 光退色のpH依存性 / ビニルスルホン系反応染料 / 銅錯塩アゾ染料 / ヒスチジンによる変色 / ヒスチジンの吸着 / セルロース染色物 |
研究概要 |
光退色挙動に顕著なpH効果を示すビニルスルホン系(VS)反応染料C.I.Reactive Red22、Blackと金属錯塩アゾ染料(Blue-Cu)でセロハンを染色し、退色のpH依存性をpH2.5〜9の範囲で好気性と嫌気性条件下で調べた。嫌気性水溶液中の露光では、Red22とBlack5は、酸性領域においてpHの減少とともに光退色が増加した。Blue-Cuは、調べた範囲ではほとんど差がなかった。好気性条件下では、Black5とBlue-Cuは、酸性領域ではpHの増加とともに減少し、アルカリ領域では増加した。Black5は、好気性水溶液中の露光で同時酸化/還元退色を示したが、pH8以上では、大きな酸化退色が観察された。このようにVS染料は、湿潤状態下の露光では、pHにより退色が、増加することがわかった。 次に、現在のJIS法を初めとする多くの光-汗複合堅牢度試験方法が、人工汗液に採用しているヒスチジン溶液にセロハン及びBlue-Cuで染色したセロハンを浸漬した時のヒスチジンの吸着量及びスペクトル変化を検討した。セロハンを25℃でヒスチジン溶液pH2.5〜11の範囲に浸漬したところpH5〜6.5の吸着が最大となり、pHに依存した吸着量を示した。Blue-Cuで染色したセロハンは、染色していないものに比べて高い吸着を示した。又、Blue-Cuで染色したセロハンをヒスチジン溶液に浸漬するとpH9、10では、主吸収のレッドシフトを生じた。pH8以下では、ブルーシフトが観察された。pH7以上の溶液に浸漬したフィルムは、乾燥中吸収スペクトルが変化したが、pH6以下の溶液に浸漬したものは、ほとんど変化が見られなかった。ヒスチジンを吸着させたBlue-Cuのフィルムを洗うと、ヒスチジンは容易に脱落するが、緩衝液に入れると再び主波長のシフトを示した。ヒスチジン溶液に浸漬しても、銅は引き抜かれないことがわかった。
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