研究概要 |
我々は、ビタミンK依存性凝固因子のプロペプチドプロセシング酵素を得る目的で、プロセシング部位を基に合成したデカペプチドを基質としてをウサギ肝臓のミクロゾーム分画より、新規のメタロエンドペプチダーゼ(MEP)を精製した。その際、合成ペプチドのP1位とP4位のArgに対してMEPが高い基質特異性を持つことを示した。MEPの全cDNA配列を決定したところ、そのアミノ酸配列は、Ca依存性のプロセシング酵素であるKex2プロテアーゼファミリーとは異なり、ホルモンペプチドの代謝に関与しているmetalloendopeptidase24.15と非常に高い相同性(60%)を示した。今回、ペプチド20種に対するMEPの基質特異性を調べた。37℃,1h(E/S=1/300)の条件下、最もよく水解されたペプチドはalpha-neoendorphin(K-Yの間)とbradykinin(F-Sの間)であり、それぞれ反応前の75%,87%の切断が見られた。また、BAM-12PやSubstancePは、複数の部位で切断され、P1,P4部位の特異性は明確ではなかった。なお、MEPは、metalloendopeptidase24.15の基質であるdynorphin Aをまったく水解しなかった。次に、切断部位の配列を基に蛍光消光系ペプチド基質を合成し、HPLCで切断位置を確認し、Km,Kcatを算出した。Abz-ARVRRANS-Dna(水解位置,R-A)やAbz-ARVTRANS-Dnaは非常に良い基質となり、MEPの簡便で高感度な測定系が確立された。一方、bradykininを基に合成したAbz-ARPPGFSA-Dnaに対してはMEPは反応せず、bradykininの全体的な二次構造を認識していることが考えられた。
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