研究課題/領域番号 |
04558028
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
石野 栞 東京大学, 工学部, 教授 (70010733)
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研究分担者 |
塚本 哲生 オリジン電気株式会社, 研究開発本部, 主任研究員
上殿 明良 東京大学, 先端科学技術研究センター, 助手 (20213374)
河西 寛 東京大学, 工学部, 助手 (40010970)
関村 直人 東京大学, 工学部, 助教授 (10183055)
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キーワード | 圧力容器鋼 / 照射脆化 / イオン照射 / 低温照射 / 電気抵抗測定 |
研究概要 |
原子炉圧力容器鋼の中性子照射による脆化機構を明らかにし、より確実な寿命評価をすることが、近年強く要求されるようになっている。本研究では、鋼材の照射脆化機構を基礎的に解明して、物理的根拠に基づいた劣化予測手法を開発するために、照射条件の制御性に極めて優れたイオン照射法を適用することを目的としている。イオン照射法は、損傷導入速度をイオンフラックスのコントロールにより御制できるほか、はじき出し損傷の連鎖(カスケード損傷)からの点欠陥生成率をイオン種、エネルギーによって、意識的に変化させることができる。これらを、電子顕微鏡によるミクロ組織観察のみでなく、陽電子消滅法、微小硬さ測定、引張試験にも適用するためには、試料温度の広い範囲での計測制御、イオン電流の計測制御、試料形状の多様性を考慮したイオン照射手法の開発が必要となる。本年度は、これらの条件を満足する高機能イオン照射チャンバーおよび試料導入部を設計し、東京大学原子力研究総合センターの重照射研究設備の軽イオン加速器に設置を完了した。これらは、鋼材における点欠陥とそのクラスターの挙動を求めるために、液体窒素温度でのイオン照射を可能とし、また電子ビーム加熱ヒーターとその制御系を備えることによって、300℃までの温度での照射あるいは照射後アニールができる構造とした。また3mmφディスクのみでなく、照射による欠陥の生成過程を種々の手法で測定するために、様々な試料に対応できるとともに、電気抵抗の測定のために多くの端子を装備している。また、イオン電流の分布測定を可能な構造とした。設置した装置について、イオンビームラインの軸合わせ等の作業を行うとともに、以上の機能についてその性能を確認することができた。
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