研究概要 |
流域管理計画で最も基本的な資料の一つとなる崩壊危険度図の作成を試みた。富士川水系早川の支流雨畑川の稲叉谷を対象として、崩壊危険度図作成のための数量化II類による崩壊地の解析を行った。地質はほぼ一定と見做し(泥岩、砂岩とそれらの互層)、地形要素、植生と崩壊の関係を検討した。その結果、植生、斜面傾斜、斜面方位、斜面型(凸型、凹型など)が大きく崩壊に関与していることが判明した。このうち植生は自然のままでも年々変化すること、また伐採した場合は急激に変化するので、崩壊危険度図作成の要素から除いた。斜面傾斜、斜面方位、斜面型の図化を行ない、これをカラー・ドラム・スキャナーで読み込みディジタル・データ化した。次に、これらの要素に数量化II類で得た重み(関与の程度)をつけて重ね合わせ、崩壊危険斜面と非崩壊に大きく分け、それぞれを確率の大きさで2分し、合計4カテゴリー(危険-2カテゴリー、安全-2カテゴリー)からなる崩壊危険度図の作成を試みた。次に、6時期(1947,1964,1969,1974,1979)の空中写真から作成した崩壊分布図と植生図を使って崩壊と植生との関係を細かく検討した。これらの図をディジタル化してARC/INFOという地理情報システムのソフトを使い、崩壊率(期待値)を使って統計解析をした結果、新しい崩壊は人工針葉樹林、伐採跡地、草地に多いことが判明した。
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