研究課題/領域番号 |
04558036
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
楠見 明弘 東京大学, 教養学部, 助教授 (50169992)
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研究分担者 |
北村 一泰 大正製薬(株), 総合研究所, 主幹研究員
宮川 宣明 富士ゼロックス(株), 電子技術研究所, 主幹研究員
蜂巣 泉 東京大学, 教養学部, 助手 (90135533)
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キーワード | 分子動力学シミュレーション / 生体膜 / 専用計算機 / タンパク質 / カスタムIC / LSI |
研究概要 |
分子動力学シミュレーション(MDS)は、タンパク質や生体膜の動的構造と機能との関係を原子レベルから研究するための、また蛋白工学やドラッグデザインのための必須の計算機実験法として、きわめて重要な位置を占めている。本研究の目的は、MDS専用のカスタムICを開発し、MDSの超高速化を達成すること、さらに、それを使って生体膜研究に応用することであった。 本年はカスタム(1)LSIの回路設計を行い、(2)MD-GRAPE、Ewald用計算ボード、及び、ワークステイションのインターフェイスのためのコントロールソフトウェアの開発、(3)LSIを並べたボードの設計、をおこなった。LSIのエンジニアリングサンプルの製作が3カ月遅れたがそれも完了し、現在LSIを4個並列に並べた、手配線(ラッピング配線)の計算ボードを製作中である。10MHzのクロックで駆動し、実効速度にして1Gflopsを目指している。実用試験には生体モデル膜、タンパク質(種々のカテプシン)、カテプシンへの阻害剤の結合など、経験のあるものを取り上げる。このうち、生体モデル膜は生体の分子集合体の代表としてとりあげる。これは、周期的境界条件のテスト、圧力制御のテスト(温度、圧力一定のシミュレーションを行うため)を行うために重要である。シミュレーションの結果は、我々の既に得ているスーパーコンピュータによる結果と比較することによって、正確さを確認する。これらの作業を行うのに、さらに6カ月を要する見通しであるが、各研究者のデスクトップ上で、スーパーコンピュータ並のMDS計算速度を実現するという高い目標が達成できる見通しはきわめて明るい。
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