研究課題/領域番号 |
04559001
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
松島 純一 北海道大学, 医学部・附属病院, 講師 (60173829)
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研究分担者 |
宮城 宏行 (株)日立製作所, 中央研究所, センター長
栗城 真也 北海道大学, 電子科学研究所, 教授 (30002108)
伊福部 達 北海道大学, 電子科学研究所, 教授 (70002102)
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キーワード | 人工内耳 / 蝸牛 / 耳鳴 / 電気刺激 / 自律神経 / 睡眠 / 埋め込み |
研究概要 |
耳鳴は極くありふれた耳鼻科疾患であるが従来確立された治療法はなかった。これは、耳鳴の機序が定かでないためであった。例えば、耳鳴の責任部位が内耳か聴覚中枢かという問題がある。さらに、耳鳴は聴覚系だけの問題か否かということもある。そうした問題に我々は試験研究(B)による蝸牛電気刺激法による耳鳴抑制を行うことにより、解決の一端が見えてきたことが最大の成果であった。 電気治療の方法 本研究により、当科では現在2種類の電気治療が行なわれるようになった。通常は経鼓膜方式で、外来で月に1、2回、延べで10回以下の電気治療を行なう。さらに、在宅治療で完全に耳鳴を消失させたい患者は開発した埋め込み式耳鳴抑制装置を使用する。 電気治療によって得られた効果 1.聴覚中枢の働きが改善される 本研究により開発した埋め込み式耳鳴抑制装置を使用すると、毎日の在宅治療が可能となり、手術的に装着した3人の患者では一日中耳鳴は消失した。耳鳴が完全に消失した時、治療耳のみならず対側耳で、語音の明瞭度が改善したことから、内耳ではなく聴覚中枢の働きが改善された結果と考えた。 2.副交感神経系が電気治療により優位となり、睡眠が誘発される。 電気治療により耳鳴が十分抑制された時、眠気を覚える。さらに、電気治療時間をのばしたり、あるいは埋め込み式耳鳴抑制装置を使用している患者では、睡眠が誘発された。電気治療後に覚醒した時、耳鳴の消失はもちろんであるが気分の爽快感を感じ、気分的にrelaxした状態になることから副交感神経系が優位になることが明らかとなった。 最後に、本研究により、耳鳴は患者にとっては、単なる不快感だけの問題でなく、QOLの問題にもなることが認識された。当科では電気治療の体系化をはかっておりさらに多くの患者に恩恵があることを望む。
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