研究概要 |
研究最終年度の本年度では昨年度までに開発した大型タンデム静電加速器質量分析装置の性能確認実験と那須深層地下水の年代同定及び木曽杉年輪別^<14>C測定を行った。以下に箇条的に研究実績を報告する。 1.本研究の独創的方法である。"分子パイロットビーム法"により、本学加速器センター設置の12UDペレトロン静電加速器を用いた超高感度元素分析システムの開発試験に成功した。現在、^<14>C,^<26>Al,^<32>Si^<36>Cl測定が可能とできた。更に^<41>Caから^<129>Iまでの重い元素の測定を可能とすべく努力している。 2.^<14>C測定実験を行い、精度で〜2%、又、感度で〜3×10^<-15>の高性能であることが確かめられた。 3.^<26>Al,及び^<36>Cl測定実験を行い、それぞれ〜30%、〜50%の精度、〜7×10^<-15>、〜1×10^<-14>の感度であることが測られた。精度を高める必要があり、鋭意努力しているところである。 4.地理学上化石水(〜30万年前)と推測されている那須深層地下水の年代測定を行った。結果NIST標準蓚酸の^<14>C/^<12>C比と誤差内で一致し、現代の水に近い事が始めて判明した。現在地理学者と検討中である。 5.木曽杉年齢別体^<14>C濃度を測定した。大気圏原水爆実験のピークであった1960年を境として^<14>C/^<12>C比が約1.4倍高くなっている事を明確にとらえた。さらに精密な測定をおこなっているところである。 以上、3年間の研究期間で超高感度分析法の開発試験を独創的アイデアを駆使して終え、ほぼ初期の目的を達成した。装置のさらなる改良と平行して、本年8月より国立オーストラリア大学と共同で、本試験研究で開発した静電加速器質量分析装置を使用してオーストラリア大さん井盆地地下水のグローバルな挙動を調べる研究に入る予定である。
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