研究概要 |
平成4、5、6年度の3年計画で筑波大学加速器センターに設置されている12UDタンデム静電加速器システムの高度利用を目指した“大型タンデム静電加速器による超高感度元素分析法の研究"を独創的アイデアである“分子パイロットビーム法"により成功裡に終了する事が出来た。 初年度には研究の遂行に必要不可欠な装置の開発に集中した。開発改良した装置を次に列挙しておく。(1)AMS専用自動試料交換機能付高電流型負イオン源、(2)120度偏向同位元素分析電磁石、(3)3連型静電4重極電磁石、(4)AMS専用スリット制御装置、(5)第2荷電変換機構、(6)8度偏向静電エネルギー分析装置、(7)45度偏向運動量分析電磁石、(8)グラファイト試料作成装置、(9)ガス△E-半導体E粒子識別型検出器。 平成5、6年度には開発した装置類を主として、新規に加速器センター第2測定室にAMS粒子検出コースを、9階イオン源室にAMS専用スパッタリング負イオン源コースを建設した。更に、これらを既存のタンデム静電加速器と結合し、日本では初めての大型タンデム静電加速器質量分析システムを開発建設した。試験測定を繰り返してその性能を確認した結果、“分子パイロットビーム法"により既存の静電加速器システムになんらの変更を加える事なく超高感度元素分析つまりAMSを実現する事に成功し、今までに、^<14>C,^<26>A1,^<32>Si,^<36>Clの超高感度測定が可能となった。平成6年度には本システムを用いた実験研究を開始し、那須地方深層地下水の年代測定と木曽杉の年輪別^<14>C濃度測定を成功裡に行うことが出来た。研究の新たな手段として広く全学供用に具する準備を始めるとともに、重元素の^<129>I測定の準備に入った。
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