研究分担者 |
八木 一夫 三重大学, 工学部, 講師 (50201819)
花市 敬正 名古屋工業大学, 工学部, 助手 (90252311)
川口 健 名古屋工業大学, 工学部, 講師 (80144195)
坂本 功 名古屋工業大学, 工学部, 助教授 (80094267)
藤墳 規明 名古屋工業大学, 工学部, 教授 (60101268)
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研究概要 |
分子量並びに置換度の異なるデキストラン(ATD)及びカルボキシルメチルデキストラン(CMD)と、磁性酸化鉄超微粒子(直径3.5〜10nm)からなる生体適合性複合体(DM磁性流体:ATDM及びCMDM)について以下の研究結果を得た。1.複合体構造。(1)ATDMとCMDMのconformation(立体配座)の違いが明瞭となり、デキストランとマグネタイトコアとの結合が、前者では末端基のみにより、後者では複数点で結合しておりin vitro及びin vivo共に異なる性質を示す。(2)前者において、デキストラン分子鎖の長いものは(分子量1800〜3600)fully extendedに近い状態であり、長いものは(分子量20,000〜30,000)random coil状態に近い。(3)人の血漿とほぼ同じイオン濃度を有する疑似体液中での各種DM粒子の荷電状態を調べ、ATDMは正の、CMDMはいずれも負の荷電を有し、その荷電状態の成因を明らかにした。2.DMの静脈内投与(ラット)による生体内挙動の解明。(1)パルスNMRによるT1及びT2の緩和時間の測定によって、血中(血液及び血清)におけるDM代謝の評価を行い、ATDMがCMDMよりも短時間に血中から代謝され臓器に取り込まれることがわかった。(2)各種臓器の電顕観察によりDMは脾臓、続いて肝臓に集まり、大型食細胞(脾臓ではMacrophage,肝臓ではKupper細胞)に取り込まれ、さらにそれらのLysosomeに存在することを、投与時間後の時間経過にともなう各種臓器の組織とDMの形態観察をもとに解明した。3.ATDMにおけるデキストラン(分子量1900〜4200)の解離定数は(20℃)は、10^<-6>オーダーであり、デキストランとコアが化学的に強く結合していることがわかった。4.加熱及び冷却(室温〜830℃)による磁気・構造変化では、外部磁場5.1kOeで、空気及びヘリウム雰囲気中で測定した磁気変化は、ATD及びCMDの熱分解にともなう残存炭素の還元層形成状態によって著しく影響され、酸化及び還元反応によるFe_3O_4の構造変化(α-Fe_2O_3,γ-Fe_2O_3,γ-Fe,α-Fe,Fe_3C)と相関している。(5.MRI造影効果の実験は進行中である。)
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