研究課題/領域番号 |
04559007
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
宮本 武明 京都大学, 化学研究所, 教授 (60027050)
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研究分担者 |
呑海 信雄 京都大学, 化学研究所, 教務職員 (90237181)
箕田 雅彦 京都大学, 化学研究所, 助手 (30229786)
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キーワード | セルロース / セルロースオリゴマー / 三酢化セルロース(CTA) / 沈澱分別 / 酵素処理 / 分子量分布 / GPC / 結晶化度 |
研究概要 |
本研究は、セルロースの低分子量化を制御することで、その分子特性等が未だ解明されていない10-20程度の重合度を有するセルロースオリゴマーを効率的に調製することを目的とする。本年度は、沈澱分別法あるいは酵素処理により、分子量の均質化がどの程度まで可能であるかを検討し、以下の成果を得た。 1.三酢化セルロース(CTA)の酸加水分解、脱アセチル化、そして水洗による水溶性オリゴマーの除去で得たセルロースオリゴマー[分子量分布(M^^-w/M^^-n)=1.49、数平均分子量(M^^-n)=4100]から、80℃の熱ジメチルスルホキシド(DMSO)による抽出で、均一度が1.32のオリゴマー(M^^-n=4100)が収率50%(CTAオリゴマー基準)で得られた。なお、生成オリゴマーは完全再酢化することでGPCによる特性化を行った。さらに、このオリゴマーの熱DMSO溶液に水を沈澱剤として加えることで(DMSO/H_2O=10/4)、収率は7%と低いものの、非常に均一度の高い(M^^-w/M^^-n=1.18)、重合度が10程度のオリゴマーを調製することに成功した。 2.上記の熱DMSO不溶のセルロースオリゴマーを出発物質として、先に非晶化セルロースを用いて、分子末端切断酵素であるエキソ型酵素が優先的に作用することを確認したセルロース分解酵素セルラーゼT[天野製薬(株)製]を用いて酵素処理を行ったところ、分子量の均一度(M^^-w/M^^-n)は出発オリゴマーの1.57(M^^-n=6000)から1.26(M^^-n=5500)へと小さくなった。ここで、酵素処理前後の試料の広角X線散乱測定結果の比較より、Ruland法で求めた結晶化度は、30時間の酵素処理により28.7%から38.2%へと相対的に増大しており、酵素処理による非晶部分の選択的な除去が支持された。 今後は、出発物質の結晶化度の制御と酵素処理を併用することで、酵素反応による分子量の均質化の機構を調べると共に、分散比のより小さなセルロースオリゴマーの調製と機能化を行う予定である。
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