研究課題/領域番号 |
04559008
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
菅 滋正 大阪大学, 基礎工学部, 教授 (40107438)
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研究分担者 |
吉田 能英 島津製作所, 東京支社, 課員
銭谷 福男 島津製作所, 東京支社, 専門課長
今田 真 大阪大学, 基礎工学部, 助手 (90240837)
大門 寛 大阪大学, 基礎工学部, 助教授 (20126121)
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キーワード | 逆光電子分光 / BIS / 高分解能 / NEAカソード / 電子レンズ / LEED |
研究概要 |
本年度の研究実施計画は下記の通りであった。 (1)逆光電子分光におけるエネルギー分解能の向上 (2)システム総合調整とテスト実験 (3)マスフィルターやRHEEDによる真空・表面分析 (4)検出器の小型化 現在までに(1)-(3)については予定通り進行したが(4)については継続課題となった。まず(1)については高エネルギーカットオフに用いるイオン結晶の励起子基礎吸収端をアーバックテイルとして理論的に解析し、到達できる最大分解能を評価し、実験結果と合わせて専門誌に報告した(文献1)。低エネルギーカットオフについては差分を取ることで全て相殺できることを理論的に示した。分解能を決めるもう一つのファクターである励起電子線のエネルギー広がりを小さくするには負電子親和力(NEA)光カソードを採用する必要があるのでこの開発を行った。現在までに15mWのGaAs半導体レーザー励起で最大電流値として30μAが取り出せることが分かった。しかしながら寿命が1時間程度であり安定な測定にはまだ不十分である。その原因の一つがシステムの真空にあると考えNEGポンプを設置する事で4×10^<-10>Torrから2×10^<-10>Torrまで真空を改善したがまだ十分な寿命に達していない。10^<-11>Torr台の真空にさらに改善する必要があろう。この原因を調べたが、GaAsカソードからの光電子のうち約20%程度しか電子レンズを透過していないことが判明した。そのため加速された光電子がレンズ壁にあたり電子線刺激イオン脱離を誘起しているためと考えられる。今後の改善が必要である。次に(2)については検出器および計測系のテストを行った。標準試料Auについてのテストを終了し現在エピタキシー法で製作したFe試料についてのテスト実験を行っている。(3)については(1)と関連してマスフィルターによる真空の質の測定を行った。リークは無いが真空容器壁の脱ガスの為であろうか、いま一つ真空度が十分でない。来年度はさらに高性能の真空ポンプを設置したい。表面構造測定用のRHEEDについては構造のみでなく表面の元素分析(清浄性チェック)を行う必要性からLEED(低速電子線回折)装置に切り換えた。この装置は整備完了しコンピューターコントロールでデーター処理ができるようになった。
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