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1993 年度 研究成果報告書概要

エルンスト・マッハと「物理学的現象学」の構想

研究課題

研究課題/領域番号 04610001
研究種目

一般研究(C)

配分区分補助金
研究分野 哲学
研究機関東北大学

研究代表者

野家 啓一  東北大学, 文学部, 教授 (40103220)

研究期間 (年度) 1992 – 1993
キーワード物理学的現象学 / 感性的要素 / 思考経済 / 現象主義 / 純粋記述 / 超越論的現象学 / 力学的自然観 / 実証主義
研究概要

マッハの「物理学的現象学」は、物理学の体系からあらゆる形而上学的カテゴリー(実体、因果、絶対運動など)を排除し、世界を形作る原的所与である感性的要素の複合体を思考経済の法則に則って記述することを通じて物理法則を探究しようとする試みである。この構想を支えているのは、19世紀の科学研究を領導したヘルムホルツ流の「力学的自然観」への根本的批判であり、マッハのニュートン力学に対する概念批判は、アインシュタインの相対性理論に道を開くと同時に、科学哲学の分野においてはウィーン学団による論理実証主義の成立を促し、後の分析哲学の展開に先鞭をつけた。
他方でマッハの「現象学」概念はフッサールに影響を及ぼし、彼の超越論的現象学の形成に寄与した。両者に共通するのは、根源的所与である「現象」の純粋記述に徹するという方法的態度である。しかし、マッハの物理学的現象学は、あくまでも自然的態度を基盤とした「世界内在的」現象学にすぎなかった。フッサールはマッハの立場を生物学主義として批判し、「現象学的還元」の手続きを導入することによって,超越論的現象学の確立を至った。
以上のことから、マッハの物理学的現象学は、一方では「言語論的転回」を通じて分析哲学へと変貌し、他方では「超越論的転回」を経てフッサールに始まる現象学運動に道を開いたと言うことができる。その意味で、マッハの業績は今世紀の哲学を代表する二大潮流の原点に位置するものであり、20世紀哲学史はこのような観点からマッハを軸にして書き換えられる必要がある。

  • 研究成果

    (3件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (3件)

  • [文献書誌] Keiichi Noe: "Mach's Relativism vs.Apriorism and the Mechanistic World View" Boston Studies in the Philosophy of Science. 143. 229-241 (1992)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
  • [文献書誌] 野家啓一 ほか: "岩波講座「現代思想」第X巻『科学論』" 岩波書店(近刊予定), (1994)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
  • [文献書誌] KEIICHI NOE: "Mach's Relativism vs. Apriorism and the Mechanistic World View." Boston Studies in the Philosophy of Science. Vol.143. 229-241 (1992)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(欧文)」より

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公開日: 1995-03-27  

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