パーンチャラートラ派の最古の文献の一つであり、Pauskara Samhita、Jayakhya Samhitaとともに、三宝として同派で尊重されている『サートヴァタ・サンヒター』の英訳を研究の主目的とし、あわせてこの文献に説かれている教義・儀礼の重要な概念を検当する。この目的のもとに、今年度は、 1.『サートヴァタ・サンヒター』の英訳を第23章まで終了した。 2.同テクスト第7、8章に説かれている誓戒(vrata)の構造と、その意義を解明し、『ニーラマタ・プラーナ』のヴィシュヌ神の「眼りと目覚め」の儀礼が、同派のCaturmasya-vrataの前後に行われるvtsavaであることを論証して、これを『京都大学人文科学研究紀要』に掲載し、今出版準備中である。 3.同テキスト第18-23章までに説かれている「入門儀礼」の構造を、『日本印度学仏教学研究』に掲載し、今校正を終了した段階である。さらにこの入門儀礼と潅頂の儀礼を仏教思想学会で口頭発表した。
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