本研究では、まず、グラフィックスを主体にした一般的コミュニケーション事態を想定し、ハードおよびソフトを含めた相互コミュニケーション用グラフィックス制御システムを構築し、その方法に基づき、以下のような実験研究を行なった。 まず、従来のゲームを用いた社会的相互関係の実験を更に発展させて、より日常生活での社会的事態に近づけるために、複数の人間による問題解決事態を想定し、そこでの競合、協力関係を実験的に同定し、その関係が各自の問題解決にどの様に影響するのかを考察した。 具体的には、各被験者は各自の問題を解決すると同時に、自分以外の被験者の問題解決過程に介入することが出来・他者の問題解決の妨害が攻撃的態度として、また他者の問題解決への援助が好意的態度として同定された。また、互いに攻撃的な場合が競合関係として、互いに好意的な場合が協力関係として同定された。更に3人以上の被験者を用いた実験に基づき、結託の形成過程や解消過程の動態的測定を行なうことができた。 特に、どの様な関係が、全体としての問題解決の効率を高めるかを被験者がいかに学習するか、という問題を焦点とした実験を実行した。 さらに、これらの実験結果に、研究代表者が考案した、社会的相互作用の動態モデルを適用し、各被験者の人格特性を同定することができた。最終的には、このモデルを用いて、いかなる外的制御が、その社会を安定させ、その社会全体としての問題解決に有効であるかを考察することができた。
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