実験的研究I:疑問検出力の発達的比較 [事例収集] 1.幼児・児童の親と教師を対象に、大人にとって意外性をもつこどもの疑問の聞き取り調査を実施し、こどもの疑問の事例を収集した。 2.収集した事例を、疑問生成の認知的記述モデルをもとに分析した。「メンドウって、どんなにおいがするの?」など、既有知識の規則を単純に当てはめて生成されるもの、「おとうさん、飛んで行くって、どのように飛んで行くの?」のようにメタフォリカルな表現に関するもの、緑のシャンプーの液体がアワになって白くなるのを見て「どうして白くなるの?」のように、科学的発見を含むものなど、数種のタイプに分類された。 [実験] 収集された事例のなかから典型事例を選び、疑問の対象となった事象、場面をビデオ化、実験材料とする作業を継続中である。 実験的研究II:疑問の社会的抑制に関する実験 1.疑問の社会的抑制効果の発達的比較を行うために、文章材料にたいする疑問生成の公表条件ー匿名条件の差を小学生と大学生で比較した。その結果、2条件間の差は小学生で小さく、大学生で大きいことが示された。 2.大学生で公表条件ー匿名条件の差が大きく、社会的抑制効果が大きいことが示されたので、2条件で生成される疑問の量的、質的比較をより詳細に行うための実験を追加して実施した。この実験では、2条件の他に、材料について積極的記述を行う条件と行わない条件を加え、モデルを検討できるようにした。結果は分析中である。
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